1992年、スポーツ平和党のアントニオ猪木に口説かれ、参院選出馬を決意した江本孟紀。公示前日に長嶋茂雄が“散歩”と称して激励に訪れ、マスコミに話題を振りまいてくれた。予断を許さない選挙戦終盤、江本の元に、現役選手である巨人の4番・原辰徳が応援にやってきた。翌日、球団に呼び出しを食らった原はどう対応したのか――。(全3回の2回目/#1、#3へ)※敬称略、名称や肩書きなどは当時 ◆◆◆ ミスターの訪問で華々しく始まった選挙戦だったが、江本は公示日から厳しい現実に直面する。 「もうね、出馬をすぐ後悔しましたよ。普通の政党は選挙カーや運動員をたくさん抱えていますけど、スポーツ平和党は猪木さんのシンパが応援しているだけ。その人たちは猪木さんの演説について行くので、僕のほうには来ないわけですよ。党で選挙対策会議をすると、『明日は朝から千葉の駅前に行こう。ウチの若い子に運転させるから』なんて言われて、2