――大規模緩和から3年半たっても物価が上がらない理由は何でしょうか。 「2014年4月に消費税率を8%に引き上げた影響が一番大きい。経済にマイナスの影響を与える政策があると、デフレを完全に脱却するのは難しい。消費増税がなければ、もしくは1年ほど増税を延期していたら、意外と早く2%の物価安定目標は…
という主旨の論文をVipin Arora(米エネルギー情報局)、Rod Tyers(西オーストラリア大)、Ying Zhang(同)が書いている。論文のタイトルは「Reconstructing the Savings Glut: The Global Implications of Asian Excess Saving」。 以下はその要旨。 East Asian, and primarily Chinese and Japanese, excess saving has been comparatively large and controversial since the 1980s. That it has contributed to the decline in the global “natural” rate of interest is consistent with Be
消費再増税は、解散総選挙をもって、阻止される。10日前には、まさかと思われていたことが現実となった。政経エリートの間では、消費低迷を見てもなお、再増税やむなしが大勢だったから、民意で押し切るという判断なのだろう。増税は日本経済の腰を折り、再増税は首を折るところだった。災厄を未然に防いだ者は評価されぬのが世の常ではあるが、意義は小さくない。 ……… 日本経済は、2012年、2013年と1.5%成長を遂げてきた。この状況で、GDPの1.5%に相当する一気の消費増税を実施し、家計から所得を抜いたら、どうなるか。おそらく、学部の1年生なら、あっさり、ゼロ成長と答えるだろう。しかし、政府の年度の経済見通しは1.2%成長、日銀の年初のそれは1.4%であった。民間エコノミストでさえ、「ゼロ回答」は、ほとんどいなかった。 これが、政経エリートの集団幻想でなくて、何だろうか。読み間違えの最大の原因は、外需が
安倍晋三内閣の新成長戦略の最大の狙いは株価の底上げである。アベノミクスは「カブ(株)ノミクス」なのか。 なぜ株価は上がらなければならないのか。最大の理由は、アベノミクス第1の矢、「異次元金融緩和」にある。日銀は年間65兆円以上の資金を発行してインフレ率2%達成を目指している。それまでマイナスだった消費者物価上昇率は2013年6月にプラスに転じた。消費税率が8%に上がった4月には3・4%にジャンプした。 この3月末、家計、企業合わせた現預金は1000兆円近い。大手都銀の1年定期預金金利は大口でも年0・025%である。預金金利からインフレ分を差し引いた実質金利でみると、昨年末にマイナス1・5%だったのが4月にはマイナス3・83%に一挙に拡大した。眠っている1000兆円ものカネが年間で38兆円以上も目減りする(うち家計は約30兆円)。13年度の実質国内総生産(GDP)は前年度に比べて11・7兆円
1955年、東京都に生まれる。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年、大蔵省入省。理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官などを歴任したあと、2006年から内閣参事官(官邸・総理補佐官補)。2008年退官。金融庁顧問。2009年政策工房を設立し会長。2010年嘉悦大学教授。主要著書に『財投改革の経済学』(東洋経済新報社)、『さらば財務省』(講談社)など。 高橋洋一の俗論を撃つ! 元財務官僚の経済学者・高橋洋一が、世にはびこるもっともらしい「俗論」の過ちをズバリ解説。 バックナンバー一覧 欧州中央銀行(ECB)は、追加の金融緩和策の中で、民間銀行のECBへの預金について利息を支払うのではなく0.1%の手数料をもらうこととした。いわゆるマイナス金利である。 ポイントは実質金利を下げること 今回の措置
日本と米国、ドイツで名目経済成長率が長期金利を上回ったと報じられている。「財政再建には追い風だが、資産バブルにつながった例が目立つ」との論評もあるが、名目成長率が長期金利を上回っている背景は何だろうか。 はじめに指摘しておきたいのが、長期金利とは何かである。こうした報道では、はっきり書いていないことが多いが、データを見る限り、名目長期国債金利だ。長期金利とは10年物の金利を指すことが多い。 「バブル」という言葉も曖昧だ。日本の1988~90年は資産価格上昇とその後の急落から見て疑いないが、米国でITバブルとされている98~2000年は、単に景気が良かっただけともみられる。バブルという言葉を安易に使いすぎるのは、日本のマスコミだけだ。 先進国のデータを見てみよう。2000年代以降のOECD(経済協力開発機構)諸国で年次の長期金利と成長率を容易に入手できる419のケースについて、国の数でみると
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