「本の雑誌」で〈吉野朔実劇場〉を連載中の吉野朔実さんが、ご病気のため4月20日にご逝去されました。 謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
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未知を愛するノンフィクション作家・高野秀行が見つけた新たな未知は、「リアル北斗の拳」と呼ばれるソマリアのなかにある謎の独立国家「ソマリランド」だった。 そこは崩壊国家の一角で独自に内戦を終結し、複数政党制による民主化へ移行した平和な国だという。本当なのだろうか? 情報はほとんどなく、確かめるには自分の目で見てみるしかない。高野秀行の渾身の辺境旅が始まった。 ホテルのオーナーの言うとおり、エーリガーボは朝晩がかなり冷えた。私は六時頃、ベッドで毛布にくるまりながら、「本当に今日シンビリス山に行けるんだろうか......」と案じていた。 私たちがエーリガーボにやってきた最大の目的は避暑のためでもワイルドな雰囲気を味わうためでもなく、ソマリランド最高峰のシンビリス山に登るためだった。 せっかく未確認国家に行くのだから、観光名所を見物する以外に何か人に自慢できるようなことをしてみたかった。あれこれ考
未知を愛するノンフィクション作家・高野秀行が見つけた新たな未知は、「リアル北斗の拳」と呼ばれるソマリアのなかにある謎の独立国家「ソマリランド」だった。 そこは崩壊国家の一角で独自に内戦を終結し、複数政党制による民主化へ移行した平和な国だという。本当なのだろうか? 情報はほとんどなく、確かめるには自分の目で見てみるしかない。高野秀行の渾身の辺境旅が始まった。 ソマリランドの謎は多々ある。 なぜソマリランドは内戦を終結できたのか? なぜ同じソマリ人なのに南部ソマリアはそれができないのか。ソマリランドの財政的基盤は何か? ソマリランドは本当に治安がいいのか? よいとすればどうしてなのか? 日本に帰国してから多くの人にこういう点を訊かれた。誰もそれを知りたいところだ。私も知りたかったが、すぐにわかったわけではない。少しずつソマリランド人(あるいはソマリ人)の中に入っていってわかってきたのだ。そ
まず、ハルゲイサから車で北に一時間ほどの場所にある「ラス・ゲールの洞窟壁画」。大きな洞窟や岩室に、ヒトや動物が赤い染料で描かれている。写真でみるかぎり、世界遺産にも指定されているアルジェリアのタッシリ・ナジェール、あるいはリビアのタドラルト・アカクスにある洞窟壁画に似ている。ただ、ラス・ゲールの方は抽象度が高く、ピカソが影響を受けたようなアフリカの伝統美術と同質のものを感じる。私は断然こっちのほうが好きだ。ソマリ人の美のセンスはここから来ているんじゃないかなどと思ってしまう。 ヨーロッパの研究グループが調査を始めており、とくに牛を崇拝する儀式を描いたものが多いと解釈されているとか。私が興味を惹かれたのはキリンの絵があったこと。かつてはここにキリンもいたのである。今はからからに乾燥していて、キリンも牛も住める環境ではない。 お次は「ガアン・リベ(ライオンの手)」という名の絶景スポット。こ
未知を愛するノンフィクション作家・高野秀行が見つけた新たな未知は、「リアル北斗の拳」と呼ばれるソマリアのなかにある謎の独立国家「ソマリランド」だった。 そこは崩壊国家の一角で独自に内戦を終結し、複数政党制による民主化へ移行した平和な国だという。本当なのだろうか? 情報はほとんどなく、確かめるには自分の目で見てみるしかない。高野秀行の渾身の辺境旅が始まった。 1.ソマリランド観光案内 ベルベラでの海賊取材が終わると、私たちは日帰りや一泊の小旅行を繰り返した。その合間には「フリータイム」と称してハルゲイサ市内を散策。ほとんど観光旅行である。 すべては大統領スポークスマンであるサイードの作った旅程に従ったまでだ。まるで老舗の寿司屋で「お任せ」を頼んだように次から次へと目を瞠るものが出てくる。唯一の誤算はこの「お任せ」が老舗の寿司屋並みによいお値段がしたことくらいで(しかも合計額はあとになって
港湾の取材を終えると、ワイヤッブがふと「最近、海賊に拉致されたドイツ人夫婦がいるらしい」と言い出した。港湾局の人間に聞いたのだという。 ソマリランドには海賊はいないはずじゃないのか。どうしてそんな人たちがいるのか。 不思議に思いつつ、暑さでぼーっとしていると、水辺で白人とおぼしき中高年の男女がヨットで何か作業をしているのが目に入った。 「あ、あれだ!」もともとジャーナリストなだけにこういうときのワイヤッブの勢いは凄まじい。「マスコミには何も喋りたくない」というドイツ人を強引に説得し、私たちは港湾局のオフィスで話を聞くことになった。 夫はユルゲン・カントナーさん、62歳。色あせてボロボロの赤いTシャツに、これまたくたびれたキャップをかぶり、髪も髭もぼうぼう。ドイツ人としては小柄なほうだろうが、手の指だけが別の生物のように太い。いっぽう奥さんのサビネ・メルツさん(52)は、ドイツの地方都
未知を愛するノンフィクション作家・高野秀行が見つけた新たな未知は、「リアル北斗の拳」と呼ばれるソマリアのなかにある謎の独立国家「ソマリランド」だった。 そこは崩壊国家の一角で独自に内戦を終結し、複数政党制による民主化へ移行した平和な国だという。本当なのだろうか? 情報はほとんどなく、確かめるには自分の目で見てみるしかない。高野秀行の渾身の辺境旅が始まった。 ソマリランドがいかに内戦を終結させ、和平を実現したかという話はこれまでにもワイヤッブから折に触れては聞いていた。 「木陰で話し合い」という簡単なものでは無論ない。何度も繰り返し、話し合いの場が持たれているし、せっかく合意した和平は2回も潰れている。3回目でなんとか最終的な和平にこぎつけたのだ。 旧ソマリア時代、首都モガディショの独裁政権は北部の民衆を弾圧。北部のマジョリティであるイサック氏族が反政府ゲリラを組織して立ち上がりソマリア政府
謎の独立国家ソマリランド 未知を愛するノンフィクション作家・高野秀行が見つけた新たな未知は、「リアル北斗の拳」と呼ばれるソマリアのなかにある謎の独立国家「ソマリランド」だった。 そこは崩壊国家の一角で独自に内戦を終結し、複数政党制による民主化へ移行した平和な国だという。本当なのだろうか? 情報はほとんどなく、確かめるには自分の目で見てみるしかない。高野秀行の渾身の辺境旅が始まった。 「謎の独立国家ソマリランド」は書籍になりました。 「アフリカの角」の全貌を描いた世界衝撃の刮目大作『謎の独立国家ソマリランド』高野秀行著(本の雑誌社刊)2月18日搬入! →詳細・ご購入はこちらから 宮崎駿監督のアニメ「天空の城・ラピュタ」というアニメをご存じだろうか。 空にラピュタという幻の国が浮かんでいる。ほとんどの人はその存在を知らないし、そこへ行くこともできないのだが、主人公の少年はたまたまラピュタの王族
未知を愛するノンフィクション作家・高野秀行が見つけた新たな未知は、「リアル北斗の拳」と呼ばれるソマリアのなかにある謎の独立国家「ソマリランド」だった。 そこは崩壊国家の一角で独自に内戦を終結し、複数政党制による民主化へ移行した平和な国だという。本当なのだろうか? 情報はほとんどなく、確かめるには自分の目で見てみるしかない。高野秀行の渾身の辺境旅が始まった。 ほんとうの「カート宴会」に初めて参加したのはベルベラだった。私たちは一連の小旅行を終え、今度はソマリランド国内でも「辺境」として知られる「東」への旅に出ていた。 ソマリランドには舗装道路がいくつもない。東へ行く街道はたった一つだ。だから行きたくないのに毎回、ベルベラを通らねばならない。 しかも東行きのときは、ハルゲイサを出て一時間もしないうちに車のショックアブソーバーが壊れた。修理および部品交換のため、酷暑のベルベラで午後を過ごすは
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