東山紀之氏が今年2月、BBCによる単独インタビューに応じ、その内容を中心に「捕食者の影 ジャニーズ解体のその後」がBBCニュースで日本時間3月30日に放送された。昨年のBBC番組「J-POPの捕食者:秘められたスキャンダル」で取材に当たったモビーン・アザー記者らは、再び日本を訪れ、この1年で何が変わり、何が変わらなかったのかを取材。番組を見ると、日本のメディアとの違いが浮かび上がってきた。(執筆:ジャーナリスト・上智大学文学部新聞学科教授の水島宏明氏)
昨年12月27日発売の「週刊文春」が報じた「松本人志と恐怖の一夜『俺の子ども産めや!』」。お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志(60)が「スピードワゴン」の小沢一敬(50)に女性を集めさせ、東京・六本木にあるグランドハイアット東京のスイートルームで飲み会を開催。 直撃取材に答える松本人志 ©文藝春秋 “SEX上納システム”の全容 参加者のA子さんに対し、松本が「俺の子ども産めや」などと性行為を迫った様子を証言とともに詳報。さらに別の飲み会に参加し、同様の経験をしたB子さんの証言も掲載した。 記事掲載後、松本と接点をもった女性たちの証言が続々と寄せられた。彼女たちの証言で浮かび上がるのは後輩芸人が松本に女性をあてがう“SEX上納システム”の全容だ。そして松本への性接待は東京だけで行われていたわけではなかった。
元日の夕方という穏やかに過ごしている人が多い時間帯を、最大震度7の巨大地震が襲った。日本海沿岸部の広い範囲に大津波警報、津波警報が発令され、日本中が緊迫した空気に包まれた。震源地に近い能登半島では地震の揺れに加え、津波や火災によって甚大な被害がもたらされた。 能登町 地震発生から12日が過ぎた1月13日、私は取材のため現地に入った。被災地では慢性的な渋滞が発生し、一般車両は能登に行かないように呼びかけられている。メディアの取材とはいえ、救援活動の妨げになることは極力避けたい。事前に夜間は交通量が激減することを調べていたため、前夜に出発して深夜のうちに現地入りすることにした。 入念な準備のもと現地へ 出発前、取材する2日間分の食料や飲料、予備のガソリン、長靴2足と予備の靴、胴長などを車に積み込む。
靴下専門店「靴下屋」「Tabio」などの展開で知られる東証スタンダード上場企業・タビオ株式会社(大阪市)の越智勝寛社長(54)が、“美男美女ライブ配信アプリ”として知られる「17LIVE(イチナナ)」上で、ライバー(配信者)に総額7000万円もの“投げ銭”をしていることが「週刊文春」の取材でわかった。 「靴下屋」の店舗(HPより) タビオは1968年に「ダンソックス」の商号で創業し、2000年に上場した靴下製造・販売会社だ。靴下専門店「靴下屋」などを国内外に約270店舗展開し、2023年2月期の連結売上高は152億6400万円(前期比11.6%増)と業績は好調である。創業者の越智直正氏は「靴下の神様」とも呼ばれた名物経営者だったが、2022年1月に不慮の事故で急逝。勝寛氏は直正氏の長男で、同社の2代目社長だ。 「(勝寛氏は)『ウェブで勝たないとリアルで勝てない』とオンライン戦略にも熱心です
塚原さん ©文藝春秋 ◆ 20年以上連絡を絶ってきた実の父親(73)からだった。なぜ今の住所がわかったのか。混乱、恐怖、怒り……体の震えが止まらなくなった。 翌年1月、たえは体調の落ち着いた日を選んで、便箋にあった番号へ電話をかけた。相続放棄の意向を伝えるため、そして弟の和寛(仮名)のことで重大な報告があった。 電話口で、たえは声に動揺を出さないようにしながら伝えた。 「和寛は、自殺したよ」 父親は、息子の死にまったくうろたえず、あっさり言った。 「和寛は死んでも構わないけど、たえちゃんが死ぬのは嫌だよ」 この電話からおよそ2年が経つ今、たえは振り返って目を赤くする。 父親からの手紙 ©文藝春秋 「和寛は死んでも構わない、という一言で、これまで隠してきた性虐待を明るみに出そうという気持ちに火がつきました。父親にとって、子どもたちはあくまで性の道具でしかない。あんたのせいで死んだんだよと……
ライブハウス「ロフト」創設者・平野悠さんは2021年、77歳にして千葉県鴨川市にある自立型高級老人ホームへの入居を決意した。入居資格は60歳以上、入居時には介護を必要としないこと。入居金は6000万円かかるというから驚きだ。 太平洋を望む温泉大浴場で体をいたわり、館内レストランでは専属シェフが作る美食に舌鼓――高級ホテル並みの豪華な施設で悠々自適の老後ライフを謳歌していた平野さんだったが、このたびこの老人ホームからの退去を決意したという。一体どんな心境の変化があったのか? エッセイを寄稿していただいた。 結局、私は老人ホームを少々甘く見ていたようだ。死ぬまでに1億円以上かかると言われる豪華な自立型高級老人ホーム。パンフレットを見ると、健康そうな老人たちが明るくにこやかに生活している。私は2年前、倉本聰脚本のドラマ『やすらぎの郷』のようなめくるめく愛の宿での老後生活に憧れて、未来型(?)老人
〈泊めたことはあるよー〉〈14歳〉〈エッチはしてるよ〉〈なかなか可愛かったね〉〈あとは、17歳から23歳くらいまでかな〉〈今jc3(※女子中学生の3年)か?〉〈家とかも泊まりに来てもいいですよ〉……。 Twitter(現X)で送られたおぞましいメッセージの数々。送信者は、人気アイドルグループ「ももいろクローバーZ」の楽曲などを手がけた有名音楽プロデューサーだった——。 ◇◇◇ ももクロ(公式HPより) 10月16日午前8時半頃、人が行き交う東京都北区にあるJR赤羽駅のホームで1人の中年男性が女子中学生のスカート内を盗撮しようとしていた。同日、警視庁に性的姿態撮影等処罰法違反の疑いで現行犯逮捕されたのは、音楽プロデューサーの斎藤悠弥容疑者(44)だった。 「小型カメラを搭載させたモバイルバッテリーをトートバッグのポケットに忍ばせ盗撮に及ぶという手慣れた手法と、計画性を匂わせる犯行。警察は常習
10月19日夜6時過ぎ、東京・永田町の参院議員会館から黒いスーツにノーネクタイ姿で、貫禄ある体躯の男が出てきた。山田太郎文科大臣政務官兼復興大臣政務官(56)である。 蝶ネクタイがトレードマーク(自民党HPより) 駐車場に停めた濃紺の英国車「MINI CLUBMAN」にそそくさと乗り込み、議員会館を出発する。霞が関から首都高都心環状線に乗ると、自宅とは反対の方面に迷いなくアクセルを踏み込んだのだった。 翌日には臨時国会召集が控えている。内閣支持率低迷に喘ぐ岸田政権にとっては挽回する最後のチャンス。とりわけ文科省は旧統一教会の解散命令請求など重要課題が山積みだ。その政務三役の一員が緊迫する永田町から急行した先は――。
ジャニー喜多川氏による性加害問題をめぐり、元ジャニーズJr.の木村伸一氏(46)が実名・顔出しで「週刊文春」の取材に応じ、自身が受けた被害とジャニーズ事務所退所後の苦悩の日々を明かした。木村氏はジャニー氏から「新しいグループに入ってよ」などとV6のメンバーになるよう声をかけられていたが、実際に加入することなく事務所を退所。21歳の頃に芸能界から引退している。 木村伸一氏 ©︎文藝春秋 小学生の時に父親が事業で失敗し、自己破産するなど苦しい家庭で育った木村氏。中1から新聞配達、高校生になると歳をごまかして夜の街でキャッチのバイトなどを行い、月17万円ほどを家に入れ、家計を支えていた。 1995年1月8日、当時高3だった木村氏がアルバイトをしていた地元大阪のマクドナルドに電話がかかってきた。ジャニー氏だった。
刑事事件の裁判傍聴歴19年というライターの高橋ユキさんは、かつて気になる裁判官や検察官の法廷を一日中傍聴するようなこともあったという。歴代でもっとも印象に残っているという大阪地裁の“ある裁判官”について綴った、「現代思想」(2023年8月号)への寄稿「『無名』の裁き その隙間で見るもの」の一部を抜粋して掲載する。 ◆ ◆ ◆ 刑事裁判の傍聴を始めて19年目 刑事裁判の傍聴を始めて19年目になる。傍聴マニアがこうじて、ライターになった。現在私は、主にウェブメディアで事件や刑事裁判の記事を書いているが、取材でなくとも、時間があれば裁判所で傍聴し、顔見知りと意見交換したりする。つまり今でも傍聴マニアである。 私が主に傍聴するものは殺人等の凶悪事件であり、これは現在、裁判員裁判対象事件となっている。裁判員裁判では多くが短期間の集中審理。朝の10時から休廷を挟みながら夕方まで、というスケジュールで1
「これもう100回ぐらい、そうじゃないって説明したんですけど、みんなもう面白おかしく言ってるだけです」 元パソナ会長の竹中平蔵氏が辟易する「ワイドショー的な議論」とはいったい? 100万人超え登録YouTubeチャンネル「日経テレ東大学」(※2023年5月末で動画視聴終了)の人気トーク番組を書籍化した『なんで会社辞めたんですか?』(編著:高橋弘樹、日経テレ東大学/発行:東京ニュース通信社/発売:講談社)より一部抜粋してお届けする。 竹中平蔵はなぜパソナ会長を退いたのか 高橋弘樹(以下、高橋) 竹中さんはパソナグループの会長を2022年8月にお辞めになられたということで、ささやかですが、ご卒業おめでとうございますの花束をどうぞ! 竹中平蔵(以下、竹中) ありがとうございます。 高橋 何年間勤められたんですか? 竹中 13年間ですね。 高橋 会長職としては、結構長いですね。今回、「なんで会社辞
軍事転用可能な機器を輸出したとして逮捕・起訴され、その後一転して起訴が取り消されたメーカー「大川原化工機」の大川原正明社長(74)らが、東京都と国に計約5億6000万円の損害賠償を求めた訴訟。6月30日には、捜査を担当した警視庁公安部の男性警部補が証人として出廷し、自ら「(事件は)捏造です」と証言する異例の展開を迎えた。 写真はイメージ ©iStock 「同社は液体を粉末に加工する『噴霧乾燥機』で、国内トップのシェアを占めます。警視庁や東京地検がかけた疑惑は、この噴霧乾燥機に生物兵器に転用できる滅菌機能があり、輸出の際に必要な国の許可を得ていなかった、というものでした」(司法担当記者) 警視庁公安部は2018年10月、同社を外為法違反容疑で家宅捜索に踏み切った。大川原氏らは誤解を解くべく、機器の図面を提供するなど全面協力。幹部らが300回弱の任意聴取に応じたが、20年3月に大川原氏ら幹部3
神奈川県知事選(4月9日投開票)で4選を目指し、立候補している黒岩祐治知事(68)が、11年間にわたって年下の女性と不倫関係にあったことが、「週刊文春」の取材でわかった。 黒岩氏は灘中・高を経て、早稲田大を卒業し、1980年にフジテレビに入社した。『報道2001』のキャスターを15年ほど務めた後、2011年の神奈川県知事選で初当選。3期12年の実績を引っ提げて戦う今回の選挙は自民、公明、国民民主各党の県連から推薦を受け、他候補をリードしている。“選挙公約”で筆頭に挙げるのは、〈パパママ目線を踏まえた保育環境の充実〉などを掲げた子ども政策。さらに女性政策にも力を注いでおり、〈生活困難女性支援の強化〉などを訴えている。
天皇・神話・震災……なぜ日本のサブカルチャーは右傾化するのか? 新海誠監督『すずめの戸締まり』(2022年)、海上自衛隊と『ONE PIECE』、庵野秀明総監督『シン・ゴジラ』(2016年)などを論じた、批評家・大塚英志氏による短期集中連載第1回。 ◆◆◆ 「残念ながら日本の教養の原点はジャンプ」 この原稿は一通のSNSの投稿から始まる。 1月2日、防衛省海上自衛隊(@JMSDF_PAO)とあるアカウントに、甲板の先端に旭日旗を掲げ「正義」と背に白く描いたTシャツ姿で腕を組む隊員たちの写真とともに「今年も専心職務の遂行にあたります!」とのコメントがSNSに投稿されたのだ(現在は削除)。その後ろ姿からは学園祭ノリの幼さ、あるいは元ヤン的なドヤ顔が透けて見える気がして、自衛隊文化とは今はこんな感じなのかと一瞬思い、そしてその元ネタが『少年ジャンプ』の人気まんが『ONE PIECE』にあると思い
◆◆◆ 「確率的に確からしい」という言葉を続けるロボット ――最近、ChatGPTという言葉をよくインターネットで目にします。なんとなく「こんなことができるのかな……?」というイメージは湧いているのですが、具体的なサービス内容を簡単に教えてもらえるでしょうか。 深津貴之氏(以下、深津) 一言で言えば「人間の言葉で質問すると、人間の言葉で答えてくれるロボット」です。 例えば、質問に答えてくれたり、相談に乗ってくれたり、長文を要約してくれたり……。これまでの“検索”とは違って、人間的な知性があるかのように“文章で返答をしてくれる”のが大きな特徴というサービスですね。 お昼ごはんについて質問したときの回答。これまでの“検索”とは良くも悪くも勝手が違うことがよくわかる これはAIに大量の単語を学習させることで、「直前の単語に対して、最も可能性が高い次の単語を予測している」んです。例えば「むかしむか
――毒炎会(講演会)で全国を回られてお忙しいなか、本日は誠にありがとうございます。 鳥肌実(以下、鳥肌) このような機会を設けて頂き感謝しております。本日は宜しくお頼み申します。 (ルノアールのメニューを眺めて)水出しアイスコーヒーをお願い致します。 ――かしこまりました。では、インタビューを始めさせていただきます。 鳥肌 その前に、ひとつ訊ねたいことがあるんですが、よろしいですか? ――なんでしょう。 鳥肌 水出しアイスコーヒーというのは? 通常のアイスコーヒーとは何がどう違うんですか?(とメニューの該当ページを見せる) ――コーヒーの粉にお湯を注いで淹れるのがドリップで、ポピュラーな淹れ方になります。水で抽出する方法が水出しで、専用器具に入れたコーヒーの粉に水を注ぎ、ゆっくり時間を掛けてポタポタと落ちてくるものを溜めていきます。口当たりに関しては、ドリップに比べると柔らかく感じられるの
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