東京工業大学は、二酸化炭素(CO2)を捕集する機能を持つレニウム(Re)の錯体が、低濃度のCO2を還元できる電気化学触媒として機能することを発見したと発表した。 同成果は、同大学理学院化学系の熊谷啓 特任助教、西川哲矢 大学院生(当時)、石谷治 教授らの研究グループによるもの。詳細は、英国王立化学会誌「Chemical Science」に掲載された。 昨今、化石資源を燃焼させる際に排出されるCO2を電気エネルギーで還元する反応について、国内外で精力的に研究が行われている。研究で用いられるのは純粋なCO2であることが多いのに対し、実際に火力発電所や工場などの排ガスに含まれるCO2は数%から十数%であることから、効率よくCO2だけを還元できる方法が求められていた。 同研究グループでは、ある種のレニウム錯体が、高いCO2捕集機能とCO2を電気化学的に還元する触媒機能を合わせ持っていることを見出し
小松左京さん SF作家、小松左京さん(1931~2011年)の著作権管理事務所「小松左京ライブラリ」(神戸市)は26日、人工知能(AI)の研究グループに全作品のテキストデータを提供したと発表した。難しいとされる人工知能による長編小説執筆の実現に向け、分析用の資料として活用してもらう。 同ライブラリを運営する小松さんの遺族は、未完の遺作「虚無回廊」を人工知能が完結させることに期待を寄せている。 提供を受けたのは、人工知能に短編小説を創作させる研究を進めてきた、公立はこだて未来大(北海道函館市)の松原仁教授らのグループ。 本記事は「共同通信社」から提供を受けております。 著作権は提供各社に帰属します。
東京工業大学は11月26日、電子濃度の異なる12CaO・7Al2O3(C12A7)エレクトライド触媒を用いてアンモニア合成活性を詳細に調べたところ、C12A7エレクトライドが絶縁体から金属に変化する際に、触媒活性および反応メカニズムが劇的に変化することを発見したと発表した。 同成果は、同大学応用セラミックス研究所 細野秀雄 教授と原亨和 教授、北野政明 准教授らの研究グループによるもので、10月24日付けの米科学誌「Journal of the American Chemical Society」オンライン速報版に掲載された。 同触媒は、細野教授らが2003年に開発したC12A7エレクトライドの表面にナノサイズのルテニウムの微粒子を担持させたものであり、電子濃度によって絶縁体から金属へと転移することが知られていた。 今回の研究では、同触媒を用いてアンモニア合成活性を詳細に調べた。その結果、
生理学研究所(生理研:NIPS)は11月8日、自由行動下のサルの大脳皮質の神経細胞と脊髄とを人工的に接続することが可能な3.5cm×5.5cmの「神経接続装置」を開発し、実際に大脳皮質と脊髄間の繋がり(シナプス結合)を強化することに成功したと発表した。 同成果は、同研究所の西村幸男 准教授と米国ワシントン大学らによるもの。詳細は神経科学専門誌「NEURON」オンライン速報版に掲載される予定だという。 脊髄損傷や脳梗塞による運動麻痺患者の願いは、「失った機能である自分で自分の身体を思い通りに動かせるようになりたい」ということだが、従来のリハビリテーション法・運動補助装置では一度失った機能を回復させることは困難だった。今回開発された神経接続装置は、大脳皮質の神経活動を記録し、それを電気刺激に変換し、0.015秒の遅延時間(刺激のタイミング)をおいて、脊髄に対して電気刺激を行うもので、実験ではサ
名古屋大学(名大)は9月24日、大脳皮質の神経幹細胞が渋滞なく動くことが、大脳の形成にとって重要であることを明らかにしたと発表した。 成果は、名大大学院 医学系研究科 細胞生物学 宮田卓樹 教授、同・岡本麻友美 特任助教らの研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、9月22日付けで英科学誌「Nature Neuroscience」に掲載された。 胎生期に脳が形成される過程では、まず神経幹細胞の分裂によって多くの種類のニューロンが必要な数だけ作られること、そして作られたニューロンがきちんと並び、組織構造・神経回路を築くこと、という2つのステップが重要だ。神経幹細胞は脳の壁の内の方(「脳室」に面する付近)で分裂をし、ニューロンは壁の外側に配置されることが知られている(画像1)。 もしニューロンが壁の外側に適切に並ぶことが果たせない場合、神経回路の構造が乱れ、てんかんなどの症状につながってしまう
理化学研究所(理研)は9月11日、光合成を行う微生物「ラン藻」を遺伝子改変することにより、水素生産量を2倍以上に増加させることに成功したと発表した。 同成果は、理研環境資源科学研究センター 統合メタボロミクス研究グループ代謝システム研究チームの小山内崇客員研究員(JSTさきがけ専任研究者)、豊岡公徳 上級研究員、平井優美チームリーダー、斉藤和季グループディレクターらによるもの。詳細は、英国の科学雑誌「The Plant Journal」オンライン版に掲載された。 水素は、燃焼しても二酸化炭素を排出しないことから、化石燃料に替わる次世代のクリーンエネルギーとして期待されているが、現在の主な水素製造法は、天然ガスや石炭を水蒸気と反応させる「水蒸気改質」であり、資源の枯渇や環境問題などの観点から、そうした石油エネルギーを用いない水素の生産が求められている。 新しい水素製造法として近年、生物を利用
東京工科大学は8月27日、抗生物質や合成抗菌剤が効かない「薬剤耐性細菌(耐性菌)」が、多摩川での現地調査から都市河川に多く存在することを確認したと発表した。 同成果は同大応用生物学部の浦瀬太郎教授らによるもので、詳細は2013年11月に開催される土木学会「環境工学研究フォーラム」において発表される予定だという。 抗生物質は、感染症治療に活用されてきたが、その過度の使用が耐性菌を発生させることが知られている。こうした話題は主に、病院内の問題として考えられきたが、、近年、院内感染とは無縁のはずの外来患者から基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生菌などが検出される例が報告されるようになってきており、その原因として、自然環境が「薬剤耐性化」していると考えられるようになっている。 今回、研究グループは、大半が無害だが、薬剤耐性が「プラスミド」に乗って容易に他の細菌に移っていく性質を持つ「大
名橋「日本橋」保存会は7月28日に、日本橋の夏の風物詩「名橋『日本橋』橋洗い」を開催する。 昨年は約1,600名が参加した夏の風物詩 同イベントは日本橋の美化保存を目的に、年に一度夏に開催するもので、今年で43回目を迎える。子供からお年寄りや、日本橋地区の町内会や企業など、「日本橋」を愛する地元関係者が参加するもので、昨年は約1,600名が参加したという。 橋洗いには、EM(有用微生物群)を活用した洗剤を用いて、タワシやデッキブラシを用いて手作業で行う。また、各地の名水を「道路元標」に注ぐ「名水水合わせ」も実施。ラストは東京国道事務所の散水車や消防車両が放水にて仕上げをし、1年の汚れを洗い流す。 当日は橋の清掃のほか、浄化剤「EM団子」を日本橋川に投入して川の浄化を図る。この浄化剤の投入は平成17年より行っており、その結果、水質が大幅に改善。昨今では様々な魚や水鳥の生息が確認されているとい
理化学研究所(理研)は、中国・大連理工大学との共同研究により、従来法と比べてより少ないエネルギーでアンモニアを合成できる手法の開発につながる技術として、新たに合成した多金属の「チタンヒドリド化合物」に窒素分子を常温・常圧で取り込ませて強力な三重結合の窒素-窒素結合を切断し、窒素-水素結合の生成(水素化)を引き起こすことに成功したと発表した。 成果は、理研 環境資源科学研究センター 先進機能触媒研究グループの侯召民グループディレクター(画像1)、同・島隆則上級研究員(画像2)、同・胡少偉 特別研究員、同・亢小輝 国際プログラムアソシエイト、大連理工大の羅一 教授、同・羅根 修士らの共同研究チームによるもの。また会見には、4月に部門として発足したばかりの環境資源科学研究センターの篠崎一雄センター長(画像3)も出席した。研究の詳細な内容は、日本時間6月29日付けで米科学誌「Science」オンラ
テレビ DMM TV×カンテレ、地上波の現状危惧から「タブーに挑戦」 年間タッグで4クール連続ドラマ制作
東京大学大学院の服部満特任研究員や小澤岳昌教授、北海道大学大学院の尾崎倫孝教授らは、ホタルの発光に関わるタンパク質とイネ科植物の光受容体の一部を組み合わせた発光タンパク質を細胞に入れ、その発光する速度から、生きた動物体内のpH変化(酸性度)を長時間安定してモニターする方法を開発した。生体内のpH異常はさまざまな疾患や障害に関係することから、より簡便な検査技術の開発につながるものと期待される。 研究グループは、ホタルの発光のために働くタンパク質「ルシフェラーゼ」と、イネ科植物がもっている光受容体の一部のタンパク質「LOV2」を組み合わせた人工の発光タンパク質を作った。LOV2は青色の光を吸収することで構造が変化する性質があり、植物はこれによって光の方向に曲がったり、葉の気孔の開閉などが引き起こされたりしている。 作製した発光タンパク質は、青い光を当てると構造が変化して一時的に発光が弱まり、し
中央大学は5月13日、「人工酸素運搬体(赤血球代替物)」として、ヘモグロビンに血清タンパク質「アルブミン」を結合させた構造の明確な「ヘモグロビン-アルブミン クラスター」を開発し、その立体構造の詳細を明らかにすると共に、得られた製剤が生理条件下(pH7.4、37℃)で酸素を安定に輸送できることを実証したと発表した。 成果は、中央大 理工学部応用化学科の小松晃之教授らの研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、4月29日付けで米国化学会誌「Biomacromolecules」にオンライン掲載された。 輸血液の代替物となる人工酸素運搬体の実現は、次世代医療における重要課題の1つとして位置づけられているところだ。特に日本では、1つは大規模災害時における輸血液の大量需要から、もう1つは少子高齢化による献血者人口の減少に伴う慢性的な輸血液不足への懸念から、血液型に関係なくいつでもどこでも使用できる人
産業技術総合研究所(産総研)は10月30日、大阪大学(阪大)の協力を得て、生物種に固有と考えられてきた「16SリボソーマルRNA(rRNA)遺伝子」を異種生物由来のものにより置き換えることが可能であることを発見したと発表した。 成果は、産総研 生物プロセス研究部門 合成生物工学研究グループの宮崎健太郎研究グループ長、同・安武義晃主任研究員、阪大大学院 情報科学研究科の北原圭研究員(前・産総研特別研究員)らの研究グループによるもの。研究の詳細な内容は、日本時間10月30日付けで米国科学雑誌「米科学アカデミー紀要(PNAS)」にオンライン掲載された。 画像1。リボソーム30Sサブユニットの立体構造。リボソーム30Sサブユニットは、16S rRNA(緑)と21のタンパク質(白)から構成される超分子複合体だ リボソームは全生物が持つ細胞小器官であり、核酸にコードされた遺伝情報を機能(タンパク質)へ
北海道大学(北大)大学院農学研究院の橋床泰之教授らの研究グループは、メタノールのような有機溶媒で洗浄した寒天粉末で作られた寒天平板では幾つかの微生物が生育でき、その洗浄液に含まれる化学物質を寒天平板に戻すと生育がみられなくなることを見出し、フランカルボン酸が大腸菌や環境微生物など多くの細菌でコロニーの広がりを抑制することを突き止めたと発表した。 地球上に存在する細菌の多くは培養することができない難培養微生物であり、その割合は全体の90~99%を占めると言われている。テングサなど一部の褐藻の仲間に含まれる多糖類である寒天は、19世紀後半のパスツールやコッホによって培養支持体(寒天平板)として用いられ、現在でも広く一般に用いられている。 近年になり、スフィンゴモナス属細菌が作り出す多糖類の一種であるゲランガムを寒天の代わりに支持体として用いると、寒天培地では生育しない細菌が同じ栄養条件で旺盛に
東京大学は、植物細胞の形を決める遺伝子セットを同定することに成功し、その分子的な仕組みも解明したと発表した。成果は、東大大学院 理学系研究科の小田祥久助教(JSTさきがけ研究員兼任)と福田裕穂教授らの研究グループによるもの。研究の詳細な内容は、9月15日付けで「Science」オンライン版に掲載された。 植物の体はさまざまな形の細胞によって作られている。植物細胞は硬い細胞壁に覆われており、この細胞壁の形が最終的な植物の細胞の形を決定する。細胞壁の主成分は「セルロース微繊維」だ。 細胞膜のすぐ下に並ぶ「表層微小管」と呼ばれるレールに沿ってセルロース合成酵素が動くことによって、セルロース微繊維が適切な場所・方向に作られる。しかし、ロバート・フックが顕微鏡を用いてコルクの薄片に植物細胞を発見して以来、約350年間、植物細胞の形を決定するメカニズムは明らかになっていなかった。 そこで研究グループは
東京大学物性研究所(東大物性研)と科学技術振興機構(JST)は、電気伝導を担う電子を高精細に観測し、電子を結びつけて対にする「のり」について新たな発見があったことを発表した。 成果は、東大物性研の岡﨑浩三 特任研究員と辛埴 教授らの研究グループによるもの。研究の詳細な内容は、米国東部時間9月13日付けで「Science」オンライン版に掲載された。 電子が電子対を作ってエネルギー損失ゼロとなる超伝導体は、未来の材料として注目を集めている。しかし、超伝導現象は極低温でしか実現しないことが多く、切望されている室温での超伝導実現には、「高温超伝導体」(液体ヘリウムより安価な液体窒素による冷却が可能な絶対温度77度Kを超えている超伝導体のこと)の電子対形成の機構を解明することが不可欠だ。 現時点で最も高い「超伝導転移温度」は「水銀系銅酸化物」における約マイナス110℃だが、仮にヒトが普通に生活する温
防衛医科大学校、早稲田大学(早大)、慶應義塾大学(慶応大)は9月4日、出血部位で血栓を効率よく作り止血効果をもたらすナノ粒子、いわば「血小板代替物」を開発し、これが「外傷性大量出血」時の止血に効果があることを報告したと発表した。 成果は、防衛医大 免疫微生物学講座の木下学准教授、早大大学院 先進理工学部 生命医学科 生体分子集合科学研究室の武岡真司 教授、慶応大医学部の半田誠教授らの共同研究グループによるもの。研究の詳細な内容は、日本時間8月27日付けで国際血栓止血学会誌「Journal of Thrombosis and Haemostasis 」電子版に掲載され、10月には印刷板にも掲載される予定だ。 首都直下地震や東海地震では、建物倒壊や事故などによる外傷患者が多発し、中でも大けがにより大量出血を来たしたヒトには迅速な輸血が必要となる。また、バイクの交通事故などは身体がむき出しのため
名古屋大学(名大)は、東京大学大学院 新領域創成科学研究科、基礎生物学研究所の協力を得て、青色のアジサイガク片から、2種類のアルミニウム輸送体遺伝子を取得し、それらの輸送体は液胞膜及び細胞質膜に局在し、いずれも水チャネルとして知られるアクアポリンとよく似たタンパク質であることを確認したと発表した。 成果は、名大大学院情報科学研究科の吉田久美教授らの研究グループによるもの。研究の詳細な内容は、現地時間8月29日付けで米オンライン科学誌「PLoS ONE(Public Library of Science One)」に掲載された。 アジサイ(学名:Hydrangea macrophylla)は日本原産で原種の花は青色である。この花(一般的に花と思われているのは「装飾花」で実際はガク片)は、酸性土壌で育てると青色となり(画像1)、アルカリ性土壌では赤色になる(画像2)ことが20世紀初頭より知られ
九州大学(九大)と日本トリムは、「分子状水素」及び「還元性ミネラルナノ粒子」を含む「電解還元水」が悪性のがん細胞であるヒト線維肉腫「HT-1080」細胞内の「過酸化水素」を消去し、同細胞の浸潤を抑制することを発見したと発表した。 成果は、九大大学院 農学研究院の白畑實隆教授らと、日本トリムの研究者らの共同研究グループによるもの。研究の詳細な内容は、「rends in Food Science & Technology」2011年11月号でオンライン掲載された。 がんは日本において男性2人に1人、女性の3人に1人が罹患し、3人に1人ががんで亡くなっている状況だ。がんはステージIからIVまで分類され、それがさらにa及びbに分けられている。がんが転移・浸潤を始めるステージIIIbからIVに進行すると治療が非常に難しくなるのはいうまでもない。 がんには主だった悪性の性質として、以下の6つがある。(
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