楽天グループが2023年12月期の連結決算を発表しました。ポイントは、営業損益で5期連続となる2129億円の赤字を計上したものの、前年の営業赤字から1588億円も改善したことでしょう。 これはひとえに、連結決算の足を引っ張り続けているモバイル事業の収益改善によるところが大きいといえます。モバイル事業単体で見ると、前年同期から営業赤字が1417億円も改善しました。これがいよいよ、本格的な楽天モバイルの正常化につながるものなのか、検証してみましょう。 思い知った「1%の重み」 事業をスタートして以降、楽天グループ決算の足を引っぱり続けているモバイル事業ですが、ECや金融などで得た利益を食いつぶし続けているのが、多額の設備投資です。事業立ち上げ当初には総額として約6000億円を見込んでいたこの投資ですが、既に1兆円を超える巨額を投じています。一言で申し上げれば、事業計画に対する見通しがあまりに甘
クーリエ・ジャポンのプレミアム会員になると、「ウォール・ストリート・ジャーナル」のサイトの記事(日・英・中 3言語)もご覧いただけます。詳しくはこちら。 孫正義氏率いるソフトバンクグループが2016年に英半導体設計大手アームの買収で合意した際、同氏は非常に興奮し、320億ドル(当時のレートで約3兆3000億円)での買収は数十年にわたりハイテク投資をしてきた自身の「運命」だと述べた。ソフトバンクとして過去最大規模の企業買収だった。 孫氏はアナリストに対し、アームは5年間で5倍に成長すると語った。 そうはならなかった。
「ahamo」のドコモ、経営統合のヤフーとLINE──“人口減少先進国・日本”で、勝機はあるのか:本田雅一の時事想々(1/3 ページ) ケータイ料金戦争の先にあるのは“土管屋”への未来か? NTTドコモの「ahamo」を皮切りに始まったケータイ料金の値下げ競争は、格安SIMといわれたMVNOのサービスにも大きな変革をもたらし、いよいよこの春から本格的な競争が始まる。 ケータイ料金の新たな競争は、見方を変えるとアンバンドル(ばら売り)の競争だ。ありとあらゆるサービスや保険がパッケージ化された旅行ではなく、必要な要素だけを個別に最安値で組み合わせて旅行するようなもので、本当に必要な部分(この場合はデータ通信容量だろうか)に予算を割り当て、それ以外を可能な限り削ぎ落とし、シンプルにする。 データ通信なんてものは、一定水準以上の質があるならば安い方がいいに決まっている。今や覚えている人も少ないだろ
「台湾の天才」オードリー・タンが語った「私はなぜスマホをつかわないか」 オードリー・タン 自由への手紙(1)プロローグ前編 オードリー・タン。 新型コロナウィルスが蔓延する台湾で、マスク在庫がリアルタイムで確認できるアプリ「マスクマップ」を開発し、その対応が絶賛されたことで名前を知った人も多いことだろう。 彼女(氏によれば「性別なし」なのだが、ここでは便宜的にそう呼ばせていただく)は2016年、35歳という若さで蔡英文政権に入閣、デジタル担当政務委員(大臣)に就任。 そんな彼女が語った、このデジタル時代に「自由になる」ということ、貴重なインタビューを『オードリー・タン 自由への手紙』より全14回でお届けします。>今までの連載はこちら! 「ネガティブ・フリーダム」とは、既存のルールや常識、これまでとらわれていたことから解放され、自由になること。「個人として何かから自由になること」と言ってもい
コンピュータの守護聖人であるアラン・チューリングは、トランジスタベースのコンピュータが存在する前の1950年に、AIに関する画期的な論文を書いた。チューリング賞がコンピュータ科学の最高の栄誉であることからも分かる通り、多くの優れたコンピュータ科学者がAIに取り組んでいる。さらに最近では、カナダ人2人とフランス人1人の計3人の研究者が、上記のすべてのイノベーションを可能にしたディープラーニング革命を主導した。 このようなコンピュータ科学の進歩はなだらかなものではない。科学はその代わりに、革命と挫折のサイクルで機能する。ハイプサイクルとも呼ばれるだろう。1950年以降、AIに大きな進歩がなかった年が何年もあった。AIの科学者はこれらの時をAIの冬と呼ぶ。 AIの最新のディープラーニング革命は、①膨大なデータ量②そのデータを処理するための膨大な計算量③オープン性の高い研究とオープンソースコード、
ソフトバンクは2019年5月8日、ヤフーを子会社化すると発表しました。同じタイミングでQRコード決済のPayPay(ペイペイ)にソフトバンクグループ(以下、SBG)が50%の出資を行うことも発表されました。 それぞれ大きな話題となりましたが、グループ全体の総帥でもあるSBG孫正義会長兼社長(以下、孫会長)の真の狙いは何かを読み解くには、大局的な視点、局地的な視点、双方の視点で広く深く分析することが重要です。 「10兆円ファンド」設立以降の孫会長の本質は、事業家であると同時に投資ファンドのジェネラルパートナーということが見逃せない点です。自らが主たるリスクを取り、自ら投資資金を投じるプリンシパルな投資家であるということです。 さらには孫会長が以前から標榜している「タイムマシン経営」(アメリカで成功したビジネスモデルを即日本で展開し、大きな利益を得る経営手法)の経営者ということも重要です。10
2月22日、「2017年 日本の広告費」が発表されました。マスコミ4媒体、インターネット、プロモーションメディアの各広告市場の変化について、電通メディアイノベーションラボの北原利行が解説します。 2017年(1~12月)における日本の総広告費は前年比101.6%の6兆3907億円で、2012年から6年連続で前年実績を上回りました。 日本の広告費は、マスコミ4媒体の広告費とインターネット広告費、そしてプロモーションメディア広告費に大別できます。総広告費におけるそれぞれの構成比は、マスコミ4媒体が43.7%、インターネットが23.6%、プロモーションメディアが32.7%となっています。 ここ数年、マスコミ4媒体とプロモーションメディアの構成比が次第に低下する一方、14年以来2桁成長を続けるインターネット広告の構成比は年々高まっており、17年には日本の広告費全体の4分の1弱をインターネット広告が
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