ヒト、モノ、カネ。経済の基礎となるあらゆる要素は、循環してこそ成り立つという宿命を背負っている。どんなに素敵な物も、消費者の下に届かなければ売れないし、どんな大金も、使わなければただの紙切れだ。人も然り。場所から場所へと移動することで初めて、経済活動の原動力となる。 ところで、 人はなぜ「おでかけ」し、その人をとりまく環境はどのように「おでかけ」に影響を与えるのか。会員200万人の移動データから浮かび上がる日本人のおでかけを通して、経済の実相を読み解いていくのが、本連載の趣旨である。 解説いただくのは、おでかけ研究所主席研究員の長谷部潤氏。聞き手は、蛯谷敏=日経ビジネス記者である。 今回のテーマ:東日本大震災から100日。「おでかけ」から被災地の経済を見る 蛯谷:長谷部さん、ついに始まりました。日経ビジネスオンラインとコロプラの連載企画。どうぞ、よろしくお願いします。 長谷部:どうも、初め
東日本大震災の死者のうち60歳以上の比率は64.4%であり、東北3県沿岸市町村人口の同比率30.6%の2倍以上となっている。60歳代、70歳代、80歳以上の比率は、人口比率のそれぞれ1.4倍、2.3倍、3.3倍となっており、高齢者ほど死亡率が高くなっている。津波被害から逃げたり脱出したりする困難性が加齢により大きく影響を受けた様子がうかがわれる。地震の発生した金曜日午後には通勤者は自宅にいなかった場合が多いことも影響していると考えられる。また同じ年齢階級で男女を比較すると男性の方が高い倍率となっており、車中での溺死者や数波にわたる津波の間に自宅に戻った者に男性が多かった、あるいは女性を優先して逃れさせた様子もうかがわれる。余儀なかったとはいえ多くの人の死と比べ自分が助かったことが被災者の大きな心の傷となっていることが心配される。 以下には、関東大震災をふくめて、過去の3つの大震災の死因構成
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