美内すずえさん=石野明子撮影 なぜ「ガラスの仮面」の連載は35年間も続いているのか。26年前、その前と後とで人生が変わるような体験をしたことが、理由の一つです。 連載は1975年に始まりました。一見平凡だけど、演技にかけては天才の北島マヤ。映画界の大御所を両親に持つ美貌(びぼう)の姫川亜弓。伝説の劇「紅天女(くれないてんにょ)」の主役をめぐり、2人が成長しながら競い合う物語です。 物語の鍵である「紅天女」の舞台をどこにするか。迷っていました。85年11月、知人からいい場所があると聞き、足を運んだのが奈良県の奥吉野にある、天川村の天河神社でした。 田舎風の家やお社があるだけなのに雅(みやび)な雰囲気を感じました。奥吉野は南北朝の南朝が置かれた所で、紅天女の時代設定にぴったり、と思った。 翌月、弁財天の開眼儀式があるというので、1人で再び訪れました。山奥なのにニューヨークのミュー