■社会正義を盾にした自己愛 「他人を攻撃せずにはいられない人」とは誰のことか。別に暴力癖のある人のことではない。 例えば、仕事で成功したことを上司に伝えても、ほめられもねぎらわれもせず、今までの給料を考えたら当たり前だと上司に言われ、意欲を失ってしまうみたいな経験はないだろうか? この上司は、相手をけなすことで他人を無価値化しているのだという。目的は、自分の価値=「自己愛」を保つため。攻撃される側にしてみれば理不尽な話だ。しかし彼らは、自分を正当化する巧みな技法をもって、相手に非があるように思わせて攻撃を仕掛けてくるのだという。 本書は、精神科医の著者が、日常のコミュニケーションで他人に精神的ダメージを負わせるある種の人々の存在を事例とともに紹介し、考察するものだ。 こうした攻撃欲、支配欲の強い人々は「自分のあずかり知らぬところで、ターゲットが能力を発揮したり楽しみを見出したりすることに耐