ここに移転する前のぼくのサイトの、わりと初めの方に本書の名前が出てくる。このマンガを最初に読んだのは今から15年も前のことだ。児童虐待の統計は1990年前後からようやく始まったことからもわかるように、15年前といえば、ようやく児童虐待というものが世の中に知られ始めたばかりだった。*1 本書のタイトル『凍りついた瞳』は、虐待をうけた子どもに特徴的な表情だ。それが示すものは「虐待をうけた子どもとはこういうものですよ」という啓蒙である。虐待というものがどんなものか知られていない時代に虐待とは何か、という初歩的な知識を多くの人、とりわけ女性漫画誌「YOU」の読者層に知ってもらおうという狙いがあった。 裏返せば、すでに「児童虐待」というものがどんなものであるか、嫌というほどに連日報道されている今日、もはや本書の役割は終わったのではないか、と思っていた。 自分は一体15年前、何を読んでいたのか そう思