改正著作権法が成立し、小説や漫画の著作権保護期間は作者の死後50年から70年へ延長される見通しだ。著作物の風化を加速させる可能性も否定できず、対応策の検討も急務だ。 (日経ビジネス2018年9月24日号より転載) 米国を除くTPP(環太平洋経済連携協定)参加11カ国の新協定「TPP11」は国内で関連法が成立するなど批准・発効に向けた動きが進んでいる。注目したいのは関連法の中に「作者の死後50年」だった小説や絵画、漫画などの著作権の保護期間を「死後70年」に延長する改正著作権法が盛り込まれたことだ。これまで映画に関しては公表後70年に延長された経緯はあるが、その他の著作物については議論はあったものの、作者の死後もしくは公表後50年に据え置かれてきた。発効時期は判然としないが、この変更は出版業界を中心に大きなインパクトがある。 今回の著作権法改正は、TPP交渉を離脱した米国に配慮した背景がうか