「会社に恨みがあった」。以前勤務していた会社のシステムに侵入し、取引先に誹謗(ひぼう)中傷を流布していた男が今月、警視庁に逮捕された。職場でトラブルを抱え、自主退職させられた男は、匿名通信システムなども駆使し、憂さを晴らしていたという。隠微な復讐が明るみに出た理由は、不正アクセスの際に残された「痕跡」だった。 ID、パスワードを記憶不正アクセス禁止法違反容疑で今月16日、警視庁久松署に逮捕された東京都狛江市に住む元会社員の男(39)が侵入したのは、今年4月まで勤務していた都内の商社が使っている、クラウド型の経費精算システムだった。 システムには通常、各社員に割り振られたIDとパスワードでしかログインできない。だが、経理担当だったという男は、令和2年にシステムが導入された際、研修用につくられたテストアカウントのIDとパスワードを記憶していた。 会社側がアカウントを削除していなかったため、男は