武骨。静かな主張 不要なものを全てそぎ落とし、硬く焼き締めた作品群は、静かな主張と迫力に満ちる。多くの作り手が「希有な人」「追いついた人も追い越せた人もいない」と評する存在。それが彫刻家、辻晉堂(しんどう)(1910~81年)だ。 辻は鳥取県生まれ。33年、日本美術院展で力強い木彫作品を発表した。当初は具象彫刻だったが、次第に抽象に向かい、京都の登り窯で大型の陶彫(陶土で造形し焼成した彫刻)作品を制作、58年にはベネチア・ビエンナーレに出品するなど海外でも評価を得た。 やきものと彫刻の領域を横断する表現は同時代の陶芸家に影響を与え、京都市立美術大(現・芸術大)の教授として革新的な教育を行った。本展は京都時代の作品を中心に紹介する。