『カーサ ブルータス』2024年5月号より April 18, 2024 | Architecture | a wall newspaper | photo_Kenya Abe text_Housekeeper
writer profile Shinji Yajima 矢島進二 公益財団法人日本デザイン振興会常務理事。1962年東京生まれ。1991年に現職の財団に転職。グッドデザイン賞をはじめ、東京ミッドタウン・デザインハブ、地域デザイン支援など多数のデザインプロモーション業務を担当。マガジンハウスこここで福祉とデザインを、月刊誌『事業構想』で地域デザインやビジネスデザインをテーマに連載。「経営とデザイン」「地域とデザイン」などのテーマで講演やセミナーを各地で行う。 日本デザイン振興会 この連載は、日本デザイン振興会でグッドデザイン賞などの事業や 地域デザイン支援などを手がける矢島進二が、 全国各地で蠢き始めた「準公共」といえるプロジェクトの現場を訪ね、 その当事者へのインタビューを通して、準公共がどのようにデザインされたかを探り、 まだ曖昧模糊とした準公共の輪郭を徐々に描く企画。 第4回は、20
(CNN) 淡いグレーのライン、曲線を描くシックな外壁。プロジェクト・ハイブは学校というより、都会の喧騒(けんそう)を離れたフィットネスクラブや現代アート美術館のように見える。 繭、あるいは建物の名前にもなっている蜂の巣箱を思わせる独特の外観は、その建設工程――3Dプリンターによるものだ。 ウクライナのリビウ市第23小学校から200フィート(約61メートル)足らずの場所に立つ面積3983平方フィート(約370平方メートル)の校舎の壁は、COBOD社製ガントリー型3Dプリンターを使ってわずか40時間で施工された。データ化した設計図をもとに、ケーキに生クリームを絞るようにコンクリートを重ねていくのだ。 今回のモデル事業を統括するNPO団体「Team4UA」の創設者、ジャンクリストフ・ボニス氏によると、3Dプリンターで建設された教育施設は欧州で初めて。戦闘地域では3Dプリンターで建設された建造物
日本には、病気やケガなどで脚部や上肢・胴体の一部を使わずに生活する方が約193万1000人(2016年 厚生労働省 生活のしづらさなどに関する調査)いますが、生活にはどんな不便があり、住宅にはどんなことが求められるのでしょう。マンションをリノベーションし、自分たちらしい住まいを手に入れた30代の夫妻の事例を通して、「バリアフリー住宅×リノベーション」の可能性に迫ります。 「賃貸住宅は自分にとって不便だらけ」。Nさん夫妻がリノベーションを決めた理由 高校時代に事故にあい、車椅子生活になったNさんは、これまで進学・就職・結婚と人生の節目節目で引越しをし、4つの賃貸住宅に住んできました。そこでは、たくさんの不便があったと言います。 「とくに使いにくかったのは水まわりです。洗面やキッチンはシンク下収納棚が設置されているものがほとんどで、車椅子を横づけして体を捻りながら使っていました。車椅子で動き回
建設中のサウナ。3Dプリンターで製造されたブロックを積み重ねて外壁が造り上げられる=高知県芸西村(和建設提供) 建設ベンチャーPolyuse(ポリウス、東京)と和(かのう)建設(高知市)は、高知県芸西村のグランピング施設で建設用3Dプリンターを使いサウナを造った。従来工法に比べて工期を2~5割短縮でき、省人化にも貢献するという。建設業の人手不足は深刻で、ポリウスの大岡航(おおおか・わたる)代表(29)は「テクノロジーで業界をアップデートしたい」と力を込める。(共同通信=鈴田卓) 2023年11月、土佐湾に面した「ナミテラス芸西」内にサウナが完成した。外観は緩やかな曲線を描いた円すい台で、地層のような模様が特徴だ。和建設の中岡竜太郎(なかおか・りゅうたろう)社長室長(35)が製造を思い立った。 砂やセメント、水などを混ぜ、程よい粘度のある独自開発の「モルタル」が材料だ。3Dプリンターがノズル
ここ数年、夏の暑さも冬の寒さも厳しく、電気や灯油、ガス料金の高騰による冷暖房費のアップが家計を直撃している。そんな今、注目したいのが冷暖房費や光熱費が共益費に含まれ、一定額でまかなえてしまう賃貸・分譲集合住宅。しかも、その料金は一般の住宅に比べかなり安いそう。「来月のエアコン代はいったいいくらになるのだろう」という心配から解放される、住まいの仕組みについて取材した。 冬の平均気温が氷点下の北海道ニセコ町に、エアコン1台、一定額で暖房費がまかなえる賃貸集合住宅が誕生 スキーリゾートとして世界的に注目を集める北海道ニセコ町。冬季(12月~3月)の平均気温は氷点下で、1月は平均マイナス6度まで下がる。エアコンは暖房にはパワー不足。多くの家が灯油ファンヒーターを使用している。中には、冬のはじめに点火をしたら、春が来るまでスイッチは切らない、という家も。その結果、このエリアの一般的な木造一戸建てでか
2月17日(土)以降、土曜日・日曜日・祝日及び3月1日(金)以降は日時指定予約(当日空きがあれば入場可) 来館枠を予約する仕組みです。入館料は来館時に受付にてお支払いください。 電話や美術館受付での予約はお受けできません。 お申込完了後の日時変更はできません。キャンセル後、再度お申し込みください。 複数日および複数時間枠の予約はご遠慮ください。 「フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築」日時指定予約の導入について 詳しくはこちら アメリカ近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライト(1867–1959)。「カウフマン邸(落水荘)」や「グッゲンハイム美術館」で知られるライトは、「帝国ホテル二代目本館(現在は博物館明治村に一部移築保存)」や「自由学園」を手がけ、熱烈な浮世絵愛好家の顔も持つ、日本と深い縁で結ばれた建築家です。 2012年にフランク・ロイド・ライト財団から図面をはじめとする5万点を超
ほぼすべての家の南面に掃き出し窓がある 掃き出し窓と呼ばれる窓がある。 あなたの家にもあると思う。庭やバルコニーとの境にある大きな引き違いの窓、あれが掃き出し窓だ。室内のゴミやホコリをそこから「掃き出した」のが語源といわれる。昔は現在の地窓のように高さの低いものをいったが、いつのまにか背丈を上まわる高さのものも掃き出し窓と呼ぶようになった。 西洋の住宅にも掃き出し窓はある。だが日本のように、どこの家でもあたりまえのように設けられてはいない。そこには気候風土にともなう建築構法の違いなどが大きく関係しているのだが、話が長くなるのでここでは割愛する。 掃き出し窓の特徴は、「建物の南面に設けられる」ということだ。むろん例外はあるが、戸建住宅の掃き出し窓といえば一般的には南面の窓ということになる。 近所の住宅地をぶらっとひと回りしてみた。 やはり、ほぼすべての家の南面に掃き出し窓がついていた。幅18
徳島県那賀町の山あいの道を行くと、ちょっと目を引く建物が現れる。屋根には大きく「未来コンビニ」の文字が見える。人口減と高齢化が進むこの地域にできて3年あまり、手がけたのは地元出身で、電子書籍取次大手メディアドゥ社長CEOの藤田恭嗣さん(50)だ。大手コンビニチェーンもない場所に、なぜコンビニを? ――デジタルの世界で事業を展開する藤田さんが、なぜコンビニをつくったのですか。 「那賀町の木頭(きとう)地域は人口が1千人を割り込みました。これから10年、20年先は急激に過疎化が広がっていくと思います。少しでも若い人が興味を持てるしかけ、若者が働ける場所が必要と考えたことと、買い物が難しくなっている高齢者の課題を掛け合わせて考えると、コンビニというキーワードにつながりました」 ――道の駅やラボではなく、どうして「コンビニ」の名前にしたのですか。 「だれもが知っているビッグワードを取りにいきました
日本では古来から木材が主要な建築資材だ。だが、現代的な高層ビルまでも木造で建築されはじめている。なぜなのか? 米経済メディア「ブルームバーグ・グリーン」が、日本で大規模木造建築の先駆けとなった高層ビルを現地取材する。 東京都心から電車で1時間もかからない、とある街中のコンビニやラーメン屋、ホステスクラブが並ぶ細い路地に、日本ではほぼ類を見ない建物が立っている。全体が木造で、耐火性の高層ビルだ。 この「Port Plus」は横浜市にある研修・教育施設で、ゼネコンの「大林組」が自社ビルとして建設したものだ。 大林組は1892年創業の由緒ある日本の建設業者で、旧東京駅舎(1914年完成)や建築家の丹下健三が設計した代々木第二体育館(1964年完成)など、日本の象徴的な建物の建設を手がけてきた。 だがそのなかでも、2022年に完工したPort Plusこそ、同社の最も野心的な建物かもしれない。54
東京・汐留エリア(「gettyimages」より) 日本有数のビジネス街として発展を遂げた、東京・汐留。3駅9路線が利用できる抜群のアクセスを誇り、名だたる大企業の本社機能が集結。「カレッタ汐留」はさまざまな飲食店や四季劇場などの文化施設で構成され、話題の観光スポットとしても人気を博した。しかし、最近では汐留のゴーストタウン化が危惧されている。今年9月には、汐留に本社機能を置く富士通が移転を発表。電通は本社ビルを売却した。人通りは目に見えるほど減少し、カレッタ汐留のテナントの約半数が空きとなり、SNS上では「枯れた汐留」と揶揄する声も見られる。なぜ汐留は衰退したといわれるようになったのか。そこで今回は、汐留エリアが人気エリアになった経緯や衰退の理由、そして今後の展望について、不動産事業プロデューサーでオラガ総研代表の牧野知弘氏に話を聞いた。 貨物ターミナルの跡地が、ビジネスの拠点に もとも
現代の建築物はセメントやコンクリート、鋼鉄などの素材を使用したものが多く存在しますが、セメントやコンクリートは製造の過程で多くの二酸化炭素を生み出し、鋼鉄の製造には多くの資源が必要となるという欠点があります。また建築物が完成した後も、建物の暖房・空冷はエネルギー問題の核となっており、これら建築・建材に関する問題を解決するために数多くのアイデアが生み出されてきました。そして新たに、研究者が「鋼鉄より強く、太陽光を反射し余分な熱を放射する」という素材を開発したと発表しました。魔法のようなこの素材は、実は「木」をベースに作られているとのこと。 Stronger than aluminum, a heavily altered wood cools passively | Ars Technica https://arstechnica.com/science/2019/05/chemically
SHARE 武田清明建築設計事務所による、東京・練馬区の住宅「鶴岡邸」のレポート。周辺環境の自然と対話する建築の在り方を躯体のもつ質感で実現 武田清明建築設計事務所による、東京・練馬区の住宅「鶴岡邸」のレポート。周辺環境の自然と対話する建築の在り方を躯体のもつ質感で実現正面ファサード全景。 photo©architecturephoto 武田清明建築設計事務所による、東京・練馬区の住宅「鶴岡邸」のレポート。周辺環境の自然と対話する建築の在り方を躯体のもつ質感で実現2階内部。 photo©architecturephoto 武田清明建築設計事務所による、東京・練馬区の住宅「鶴岡邸」のレポート。周辺環境の自然と対話する建築の在り方を躯体のもつ質感で実現屋上の庭と公園の景色が連続する。 photo©architecturephoto 武田清明建築設計事務所が設計した、東京・練馬区の住宅「鶴岡邸」
1930年に建てられた天理大学付属天理図書館=奈良県天理市で2023年9月5日午前11時27分、塩路佳子撮影 古社寺のイメージが強い奈良だが、美しい近代建築の存在も忘れてはいけない。1930年に建てられた天理大学付属天理図書館(奈良県天理市)もその一つ。ロマネスク調の建物に入ると、重厚な大理石のカウンターや趣あるシャンデリアが目に飛び込んでくる。時空を超えて、異国の空間に迷い込んだ気がした。【塩路佳子】 「映画のような世界という人もいます」。同図書館の森山恭二事務長が案内してくれた。中学生を除く15歳以上なら誰でも利用でき、2023年2月に国の登録有形文化財(建造物)になってからは建築ファンの来訪も増えているという。 入り口を入ってすぐの正面ホールは、カウンターや階段に大理石が使われ、重厚な雰囲気を醸し出している。シャンデリアや壁、雷文(らいもん)を表す寄せ木張りの床などは建築当時のまま。
これが図書館? 全面ガラス張りの開放的な空間。大企業が始めたコミュニティ型図書館「まちライブラリー」を見てきました 西東京市 地縁型のつながりが薄れ、都会では近隣に暮らす人たちと接点をもつのが難しくなっています。そこで、地域密着のゆるやかなコミュニティの入口として、全国に増えているのが「まちライブラリー」です。本を介して気軽に人と関わることができるコミュニティ型の図書館。自宅やお店の一角に本を置いて、誰もが気軽に始められるというので人気があり、今や登録数は1000件以上にのぼるのだとか。 そんなまちライブラリーのひとつが、新たに6月末、東京都西東京市に誕生しました。資本力のある大企業がバックアップすることで、これまでとはまた違う、市民にとって嬉しい空間が生まれている。そんな先行事例を見てきました。 三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)が始めた「まちライブラリー@MUFG P
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