毎年新たに1万人がかかり、3000人が死亡する子宮頸がんを防ぐHPVワクチン。 日本ではほとんど接種されなくなったが、その原因の一つとなった厚生労働省による積極的勧奨の差し控えを、8年ぶりに解除する議論が始まった。 小児感染症が専門の長崎大学小児科学教室主任教授、森内浩幸さんにこれまでを振り返ってもらうインタビュー第3弾は、再開に向けて動き始めた日本の動きと、ワクチンへのためらいを引き起こす日本の様々な問題を掘り下げる。 積み上がるエビデンス、広がる理解ーー積極的勧奨の差し控えから長い空白期間を経て、2020年から、それまで承認されていた2価、4価ワクチンよりも効果の高い9価ワクチンの承認、男子への接種拡大、対象者への個別通知の送付の再開など、一気に前向きな動きが出てきました。この動きをどう評価していましたか? 少しずつではあるけれど、色々なエビデンス(科学的根拠)が浸透してきたことが背景