90年代に3度の戴冠を果たしたカリスマ・ボクサー、辰吉丈一郎。ラスト・ファイトから2年が経ったが、4度目の王座獲得を目指して現在も奮闘中だ。「大事なことは自分をあきらめないこと」。数々の挫折を乗り越えてきた41歳は、私たちに力強く語りかける。 髪や髭には白いものが目立つ。5月15日で41歳になったのだから当然だ。同じ時代を駆け抜けたライバルたち――薬師寺保栄、鬼塚勝也らは10年以上も前にグローブを壁に吊るし、今はジム会長として後進の指導に当たっている。 しかし、辰吉は今なお現役に強いこだわりをみせている。 実戦からは2年ほど遠ざかってしまったが、ボクサーの基本でもあるロードワークは欠かさず、連日のジムワークも精力的にこなしている。食事制限を続け、今も20代の時と同じ57kg〜58kgを保っている。目標は日本人が誰も成し遂げていない4度目の世界王座獲得だ。「夢のような話だ、不可能に近い
ビートルズ世代のこだわりエンターテインメントサイト「どらく」は2013年3月31日をもってサービス終了いたしました。 一部のコーナーについては、朝日新聞デジタルのウェブマガジン&(アンド)にて連載を継続しています。 今後とも朝日新聞社のデジタルサービスをよろしくお願いいたします。 ※このページ は30秒後に自動的に「&M」に移動します。 Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission. どらくに掲載の記事・写真の無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
吉野は左の強いボクサーだった。ウェルター級の日本王座を10回以上防衛して、ボクシングファンなら知らない者はいない存在だった。だけど、一般の人は誰も吉野のことは知らなかった。吉野は当時、とても人気のあるボクサーだった。後楽園ホールは常に満員。ディフェンスもフットワークも並の選手だったが、左だけが強く、その左をぶんぶんと振り回してバタバタと相手を倒した。その強引で豪気な左に、ぼくたちは酔った。ディフェンスのよくない吉野は、よく顔を打たれて鼻の骨を折った。鼻の骨を試合中に折ると呼吸が苦しくなるため、吉野はあるとき、鼻の骨を外すことにした。折れるくらいなら、ないほうがいい。そんな、ちょっと考えられない発想で、吉野は手術で鼻の骨を外して、耳の後ろに埋めた。以来、ふにゃふにゃになった吉野の鼻は折れることはなくなった。そんなボクサーとしての実力や評価とはまったく関係のないエピソードでも、吉野はぼくたちを
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く