■1月15日 「相撲って『引き倒し』って決まり手もあるんですね」。なじみのバーのマスターに言われて首をかしげた。「引き落とし」や「突き倒し」はあるが「引き倒し」は聞いたことがない。「遠藤の相手の決まり手ですよ。厳密にいえば『ひいきの引き倒し』です」。 マスターいわく「遠藤との一番では、懸賞金目当てで相手力士の目の色が違う」。人気の遠藤には平幕(東前頭11枚目)にしては多い懸賞がかかる。それを目当てに相手はいつもより必死になるというのだ。 今場所5日目までに遠藤の一番に集まった懸賞は68本なので一番平均13・6本。1本の手取りは3万円だから、目の前に40万円がぶら下がっている。燃えないわけがなく、遠藤に向けた懸賞が逆に相手の発奮材料になっている。「しかも遠藤はけがをしています。懸賞の多さが『ひいきの引き倒し』になっているんですよ」。 昨年の春場所に左膝の前十字靱帯(じんたい)の断裂と半月板損