毒入りの餌を最後まで拒んで餓死した、上野動物園の「かわいそうなぞう」の話は、童話や絵本などで広く知られている。戦争中に、食糧事情の悪化や、空襲時に逃げ出したら危険という理由で殺された動物は、全国の主要な動物園で100頭を超えた。 その「処分」に当たったのは、本来は動物を長生きさせるのが仕事の飼育係だった。彼らは一様に体重が減少し、やつれていったという。動物がうめき声を上げる夢に、夜ごとうなされる者も少なくなかった(『動物園の昭和史』秋山正美著)。 福島第1原発事故との戦いでも、多くの動物が巻き添えを食っている。半径20キロの、立ち入り禁止となった「警戒区域」には、約4000頭の牛のほか、豚や鶏、馬などの家畜やペットの多くが取り残された。市街地を徘徊する牛や飼い犬の映像には、衝撃を受けたものだ。 その多くがすでに餓死するか、衰弱が激しいとみられる。福島県は家畜について、獣医師らの協