公害を二度と繰り返さないためにどうすればよいのか 公害を現代的に捉え直すために、公害経験の多面性を理解し、公害経験が持つ普遍性を考える。公害経験の継承というテーマに正面から向き合った論集テキスト。 本書は,現在地から公害を捉え直すことの意義と,公害が私たちに語りかけるものを汲み取ろうとする営みについて書いたものである。公害を現代的に捉え直すにあたって,本書で重視しているのは二つの視点である。 一つは公害経験の多面性を理解することだ。公害が現在進行形で深刻な被害を生み出していた当時,被害の重大性を社会的に認知させ,被害救済や公害防止を求めることが最重要課題とされるべきだったということには疑いはない。そしていまだ放置されている被害の存在は強調されなければならないが,他方では公害を生み出さないように,技術,制度・政策,人びとの意識などにおいて変わってきた部分は確実にある。時間の経過のなかで,公害