日本の大学進学率は上昇の一途だ。進学希望者の望みがかなえられる社会になっていると見ればいいことでもあるが、実情はそう単純なものでもない。「大学に行かなければいい仕事に就けない」という考え方が職業に上下をつけ、進学以外の選択肢を見えなくさせてきたことは否めないからだ。この既成概念を打破するために、高等学校での進路指導が担う役割は大きい。学校現場での指導状況や若者たちの志向について、情報誌『高卒進路』の編集長でもあるジャーナリストの澤田晃宏氏に詳しく聞いた。 1990年ごろから高卒での就職率が大きく下がっている【グラフ】 高校生の就職は、誰にとっても無関係な話ではない。例えば今、あなたはスマートフォンでこの記事を読んでいるかもしれない。その手の中のスマホに電波を届けるための設備は、おそらく多くの高卒就職者によって維持されている。あるいは今夜、ネット注文した商品があなたの家に届くかもしれない。そ