答えを探した。 けれども見つからなかった。 きっと僕の探し方が悪いのだろう。 板倉俊之の笑いは、正答と正答の笑いだった。 正答同士をかち合わせる事こそが、インパルスだった。 その笑いを成り立たせる為に、板倉は常に正答を用意し続けた。 キセルで捕まった人間に対して駅員である堤下が年齢を聞く。 板倉は答える。「私に年齢があるとお思いですか?」 この瞬間、彼は間違い無く信じていた。 自らが、年齢などというものを持たない、超越的存在であると信じていた。多くの人間が、自分は特別なんだと思った事がある。他の誰かとは違うのだと高揚感を覚えた事がある。世間一般の人とは違う、特別な存在なんだと信じた事がある。それと同じように板倉は、自らを「年齢などというものを持たない超越的存在である」と主張したのである。その言葉には確かな強さがあった。だからこそ、その言葉に大きく心を動かされたのである。 それは、口から出任