台風15号は東京都の伊豆諸島にも大きな爪痕を残した。少なくとも6島で600軒以上の建物が損壊し、停電や断水もあった。修繕に必要な資材の不足も目立つ。「もっと島の状況を知ってほしい」。そんな声も上がる。 伊豆諸島最大の大島。南部の差木地(さしきじ)地区では、壁が壊れたり屋根が吹き飛んだりした建物が多く目についた。電柱は折れ曲がり、電線を修理する作業車が道の片側をふさぐ。 「ここにはもう住めないかな」。13日午後、自宅の片付けに追われていた榊ヒサエさん(81)は、土砂や木くずが散乱した部屋を見つめながらつぶやいた。 台風が通り過ぎた9日未明、榊さんは一人で部屋にいた。強風を恐れ、眠りにはつけなかった。「ゴォォォー」という激しい風の音とともに天井がミシミシと音を立てたと思うと、屋根が吹き飛ばされた。島で観測された最大瞬間風速は47・1メートル。「今まで生きてきた中でこんなすごい風、初めてだと思っ