退職金ゼロにする奇策が全国自治体で横行 非正規公務員5.8万人、勤務が毎日15分短いだけで「パート扱い」 非正規の地方公務員には退職金を払いたくない? 全国の自治体でそんな観測が浮上している。退職金の受給資格があるフルタイム非正規より1日約15分だけ勤務時間が短いため、受給できない「パート」が約5万8000人いることが国の調査で判明したからだ。専門家は「自治体が恣意的に勤務時間を短くしているのではないか」とみている。(渥美龍太、畑間香織)
2023年最後の取引となった大納会の29日、東京株式市場は日経平均株価(225種)が前年末に比べて7369円67銭高い3万3464円17銭で取引を終えた。年末の株価としては過去最高だった1989年以来、34年ぶりの高値となった。業績好調な大企業は株式市場をけん引した半面、稼ぎを人件費に回す割合「労働分配率」は4割ほどと過去最低の水準だ。識者は「大手企業は賃金に回せる余裕がある」と指摘する。(押川恵理子) 労働分配率 企業の生みだした付加価値が、どれだけ働く人に還元されているかを示す割合。高いほど働く人への配分が手厚いと言えるが、高過ぎると経営を圧迫する。本紙は財務省の法人企業統計(金融、保険業を除く)をもとに、人件費を付加価値(経常利益、人件費、減価償却費などの合計)で割って、分配率を算出した。ほかに、経常利益の代わりに本業のもうけである営業利益を使う算出方法や、雇用者報酬を国民所得で割る
「宅配業界では、偽装が常態化している」と訴えるのは、アマゾンや日本郵便の配送をフリーランスで請け負ってきた神奈川県の50代男性だ。「荷物の時間指定があり、間に合わなければ他の配達員が代わりに運ぶなど、常に指揮命令がある」と実態を明かす。 国土交通省によると、宅配事業者による宅配便の取扱個数は昨年が50億個と10年間で4割以上増加。自社商品の配送に特化し統計に含まれないアマゾンなどを含めると伸びはさらに大きい。雇用された運転手の残業時間に罰則付きの上限を課す「2024年問題」が来年4月に迫る中、上限規制の対象外の偽装フリーランスらに大きな負荷がかかる恐れがある。男性は「偽装をやめ、雇用契約するべきだ」と求める。
退任する日銀の黒田東彦総裁が主導した大規模金融緩和の10年間で、大きく下がったのが円の価値だ。昨年後半には金融引き締めを急ぐ米国との政策の違いを背景に、1ドル=150円台の歴史的な円安が進行。輸入物価の上昇に拍車をかけ、「悪い円安」論が高まった。新体制となる日銀は緩和を当面続ける方針だが、経済の成長力強化につながらなかった円安政策は曲がり角を迎えている。 昨年3月まで110円だったマクドナルドのハンバーガーが3度の値上げを経て今年1月以降は170円に。かつて「デフレの象徴」とも言われたハンバーガーが度重なる値上げを迫られているのは、牛肉や小麦など原材料費の高騰に加え、海外からの仕入れに響く円安が要因だ。 日本に初出店した1971年は80円だった同社のハンバーガーは、2002年には過去最安の59円まで価格が低下。しかし、今やその3倍近い金額となっている。それでも同社担当者は「まだかなりの円安
報告書名は「新時代の日本的経営」。経営で三つの雇用の形を組み合わせることを提言した。このうち契約社員や派遣ら非正規を「雇用柔軟型」と名付け、企業が人件費を抑えるために活用する方向性を示した。 新時代の日本的経営 終身雇用や年功賃金を中心とする日本的雇用の見直しを求める提言。急激な円高や不況を受け、人件費を抑えるのを目的に3種類の雇用を組み合わせる「雇用ポートフォリオ」の導入を企業に促した。正社員に当たる「長期蓄積能力活用型」、専門能力を生かす「高度専門能力活用型」に加え、現在の非正規労働者に当たる「雇用柔軟型」を設定。企業が非正規を増やす方向性を示したとされる。 当時、日本は先進国が協調してドル高を是正する「プラザ合意」(85年)を機に円高が急伸、その後のバブル崩壊で不況に陥った。成瀬さんは報告書の作成について「円高で賃金が上がり過ぎたから下げるしかなかった。このままでは企業がつぶれるとい
地方公務員の非正規化が進んでいる。非正規公務員は15年で1.5倍に増加。4人に3人が女性という割合だ。当事者を中心に昨年設立した支援団体「公務非正規女性全国ネットワーク(通称・はむねっと)」は、自立できない賃金水準にあることなどの実態を明かし、このままでは「公共サービスが持続できなくなる」と警鐘を鳴らす。20日に都内で設立1周年の集会を開く。(畑間香織) 都内の放課後児童クラブで働く女性(48)は3月末で退職することを決めた。女性の給料は手取り月14万円、年収は200万円に満たない。単身のため、収入を増やせないかと、別の仕事を入れることも考えたが、児童の相手をしながら事務作業に追われる状況では体力的に難しく限界だった。女性は「現場を担うのは非正規やパート。行政がこの待遇で仕事をやれる人に甘えている」と憤る。
正社員に転職し初めての月給は18万円だった。「奴隷みたいに長時間働いたのに、正社員の給料ってこんなに安いんだ」。今年2月の夕刻、東京都内の洋菓子店で販売員として働き始めた渡辺美咲さん(25)=仮名=は、銀行ATMの残高表示にぼう然とした。 失望しつつ「決まった給料が入る安心感はある。長く働こう」と思い直した。元は都内の焼き鳥店のアルバイトで4年半ほど生活していた。当時は安倍政権の経済政策「アベノミクス」への期待が薄れ、経済成長と賃上げの好循環の実現は難しいことが明らかになってきた時期。政権の力点は非正規労働者の処遇改善など、分配政策にシフトしていた。
最低賃金(最賃)に近い低賃金で働く人の割合が最近10年ほどで倍増していることが、賃金に詳しい都留文科大の後藤道夫名誉教授の試算で分かった。最賃の全国平均の1.1倍以下で働く人の割合は2020年に14.2%となり、09年の7.5%から急伸した。非正規労働者や低賃金の正社員が増えたのが要因の1つで、コロナ禍が脆弱な雇用構造に追い打ちを掛けている。(山田晃史) 最低賃金 パートやアルバイトなど非正規労働者を含む全ての働く人に適用される賃金の下限額。都道府県ごとに時給で示され、下回った企業は罰金が科される。改定は毎年度あり、国の審議会が夏に引き上げ目安を示した後、都道府県の審議会が生活費の必要額や企業の支払い能力を考慮し決める。適用は10月ごろ。東京が1041円で最も高く、沖縄など最も低い県と221円の差がある。
ウーバーイーツの「聖地」といわれる世田谷・三軒茶屋のマクドナルドの前の道。お昼前後になると配達注文を求めてたくさんの配達員が集まってくる 新型コロナウイルスの影響による失業者が7万人を超える中、雇用の受け皿となってきたウーバーイーツの配達員に逆風が吹いている。配達員の増えすぎで収入が落ち込んだとの声が続出。参入企業も相次ぎ、今後はさらに報酬が引き下げられる恐れがある。失業や収入の低下に悩んで飛び込んだ世界でも、窮地に陥りかねない。(久原穏) ◆Go To イートも逆風に 東京・三軒茶屋のマクドナルド前。ウーバーからの配達依頼が多く、稼ぎを狙う配達員が行列するため「ウーバー配達員の聖地」と呼ばれる。「コロナが拡大した3月ごろから配達員が急増し、10月にGo To イートが始まり宅配需要が落ちた。仕事の奪い合いで収入は3割減った」。派遣会社を辞め配達員を本業にした男性(52)は肩を落とす。
東京新聞の今日の記事ですが、 https://www.tokyo-np.co.jp/article/58183(コロナで雇用も脱日本型 欧米流「ジョブ型」急増 解雇容易の懸念も) 新型コロナウイルス感染拡大で、社員の雇い方を従来の日本型から職務を明確にして採用する欧米流の「ジョブ(職務)型」に切り替える企業が急増している。テレワークでも管理しやすく専門人材を採用しやすいとの触れ込みだが、社員が解雇されやすくなる懸念もある。(久原穏) おそらくこの久原記者、ジョブ型は解雇自由になるからけしからんという趣旨で記事を書いているんでしょうが、結果的に、ジョブ型をわざとはき違えて解雇自由だと言いたくして仕方がない人々と全く同じメッセージを送ることになってしまっていますね。 というか、ジョブ型とかと関係なく解雇自由なアメリカは別として、れっきとしたジョブ型というか職種型社会で解雇をきちんと規制している
東京電力の社員で福島第一原発事故の損害賠償業務を担当した東京都の一井唯史(いちいただふみ)さん(35)が本紙の取材に応じ、職場での過酷な体験を語った。一井さんは三年前にうつ病と診断され休職中。東電から休職期間終了のため十一月五日付で解雇すると通知されており、三十一日に中央労働基準監督署(東京)に労災申請をする。 (片山夏子) 一井さんによると、二〇一一年九月から、避難区域内外で営業していて廃業や移転を余儀なくされた会社や個人事業主らを対象に、事故で発生した逸失利益を計算して賠償金を支払う業務を担当した。東京都多摩市内の職場で、審査内容や賠償金額に納得してもらえない場合に電話で対応するのが仕事だった。
政府が、一定水準以上の年収がある人には週四十時間が上限といった労働時間規制の適用を除外する「ホワイトカラー・エグゼンプション」の実験的な導入を、一部の企業に特例的に認める方向で検討していることが十四日、分かった。 年収八百万円を超えるような大企業の課長級以上の社員を想定。時間外労働に対する残業代は支払わない上、休日、深夜勤務での割増賃金もない。経済産業省は自分の判断で働き方を柔軟に調整できるようになり、生産性向上につながるとしている。 ホワイトカラー・エグゼンプションは第一次安倍政権が導入を狙ったが、二〇〇七年、労働組合の反対で見送られた経緯がある。今回も労組は「過労死を引き起こす」と反発しており、政府内でも厚生労働省からは疑問の声が上がっている。
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