「まさか、こんなに高いなんて…」 マイホームの購入を検討していた30代の夫婦はこうつぶやきました。 世界有数の森林大国ロシアによるウクライナへの軍事侵攻。住宅に欠かせない木材などのさらなる価格高騰が懸念され“夢のマイホーム”が手の届きにくいものになろうとしています。日本の住宅市場を襲う、ロシア発の「ウッドショック」。実態を調べました。(経済部記者 野上大輔 太田朗/ サタデーウオッチ9 長野幸代)
近所のパン屋が値上げした。 そんな変化が身近なところで見られるようになっていませんか。ロシアによるウクライナ侵攻で、小麦の価格が世界的に高騰しているためです。 とりわけ、深刻な影響が出ているのが、中東地域です。小麦の在庫が1か月程度など、食糧危機を招きかねない事態にまでなっています。現地の状況を詳しく解説します。 (カイロ支局 藤吉智紀、ドバイ支局 山尾和宏) なぜ、影響深刻なの? ロシアとウクライナはともに穀物の輸出大国です。 とりわけ小麦は、輸出量でロシアが1位、ウクライナが5位で、両国で世界の3割を占めます。その両国に、小麦の輸入を大きく依存しているのが中東地域です。 主食のパンの原料として小麦は欠かせない輸入品です。両国からの輸入の割合はトルコで8割以上、エジプトで7割以上などとなっています。 しかし、ロシアによる侵攻で、3月上旬には国際的な指標となる小麦の先物価格がおよそ14年ぶ
先月の中古車の平均取引価格は、統計をさかのぼることができる2000年以降で初めて100万円を上回りました。半導体不足で新車の生産が滞る中、中古車の需要が高まっていますが、市場に出回る数が少なく価格の上昇が続いています。 中古車オークションの運営会社で最大手のUSSによりますと、先月、会社が仲介し取り引きが成立した中古車の平均落札価格は、1台当たり100万6000円でした。 平均落札価格が100万円を超えるのは、統計をさかのぼることができる2000年以降で初めてで、前の年の同じ月と比べて16万8000円、率にして20%上昇したことになります。 半導体不足などで車の生産が滞る中、新車は注文から納入まで最大で半年程度かかっていて、中古車の需要は高まっています。 ただ、関係者によりますと、買い替えに伴って市場に出回る中古車の数が少ないうえに、日本車の人気が高い海外にも輸出され、需要に供給が追いつか
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて、アメリカのバイデン大統領はロシア最大の金融機関の取り引き制限など、大規模な経済制裁を実施すると発表しました。 アメリカ軍の部隊をヨーロッパに追加で派遣することも決め、ロシアに対し断固たる姿勢で臨むと強調しました。 バイデン大統領は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて24日、ホワイトハウスで演説し「プーチン大統領は侵略者だ」などと、強く非難したうえで大規模な制裁を科すと発表しました。 具体的には、ロシアの政府系銀行で国内最大の「ズベルバンク」など5つの大手金融機関について、ドル建ての取り引き制限や、アメリカ国内の資産の凍結を行うと明らかにし、その結果、資産ベースで、ロシア国内の銀行の80%が制裁の対象になるとしています。 これらの大手金融機関は、ロシアの石油や天然ガスなどを扱う多くの企業に融資を行っているため、ロシア経済に幅広く打撃を与える
ウクライナをめぐり緊張が続く中、ヨーロッパで天然ガスの調達が滞るのを避けるため日本政府は国内に必要なLNG=液化天然ガスを確保したうえで、一部をヨーロッパ向けに融通する方針を決めました。アメリカのバイデン政権の要請を受けた異例の対応です。 これは9日夕方、萩生田経済産業大臣が記者団に対して明らかにしました。 この中で萩生田大臣は「ヨーロッパの厳しいガス不足の状況を踏まえ、アメリカからの要請を受けて協力することを決定した」と述べて、政府としてLNGをヨーロッパ向けに融通する方針を決めたことを表明しました。 萩生田大臣はこれに先立ち、EU=ヨーロッパ連合のフロア駐日大使と、アメリカのエマニュエル駐日大使と相次いで会談し、LNGを融通する方針を伝えました。 ヨーロッパは、電力などに必要な天然ガスの需要のおよそ3割から4割をロシアからパイプラインを通じて供給を受けています。 ウクライナ情勢は緊張が
アメリカのバイデン政権は、ウクライナ情勢が緊迫化し、ヨーロッパで天然ガスの調達が滞ることを避けるため、日本政府に、日本が輸入するLNG=液化天然ガスの一部をヨーロッパ向けに融通できないか要請してきたことが分かりました。政府内で慎重に議論を始めています。 ウクライナ情勢は緊張が続いていますが、ヨーロッパはロシアからパイプラインを通じて天然ガスの供給を受けています。 しかし、仮にロシアがウクライナに侵攻した場合、アメリカやヨーロッパはロシアに対して経済制裁に踏み切る可能性を示していて、ロシアが対抗措置としてヨーロッパ向けの天然ガスの供給を絞るのではないかという見方も出ています。 関係者によりますとアメリカのバイデン政権は日本政府に、日本が輸入するLNG=液化天然ガスの一部をヨーロッパ向けに融通できないか要請してきたことが分かりました。 ただ、LNGは日本の発電所の発電量全体に占める割合が39%
台湾から中国に輸出されている2種類の果物について、中国の税関当局は害虫が検出されたとして、20日から輸入を停止することが明らかになりました。 中国政府はことし3月にも台湾産のパイナップルの輸入停止措置をとっていて、台湾当局は反発を強めています。 台湾の農政を担う農業委員会は19日午後、記者会見を開き、中国の税関当局から「台湾産のシャカトウとレンブから何度も害虫が検出されたため、20日から輸入を停止する」という通知が届いたことを明らかにしました。 台湾から輸出されるシャカトウとレンブの9割以上が中国向けで、農業委員会によりますと、中国側からことし6月までに不合格との指摘が複数回あったため対策を強化し、その後は不合格の知らせはなかったということです。 台湾では重要な祝日とされる中秋節の連休のさなかで、農業委員会のトップで閣僚の陳吉仲 主任委員は「このような日を選んで輸入停止を通知し、翌日から実
新型コロナウイルスの影響で、業務用のバターの需要が落ち込んでいることなどから、農林水産省は新年度のバターの輸入枠を、今年度の半分以下となる6400トンにすることを決めました。 日本はWTO=世界貿易機関の協定で毎年、一定量の乳製品を輸入することになっていて、このうち新年度のバターの輸入枠について農林水産省は6400トンにすることを決めました。 1万4000トンだった今年度と比べて半分以下となり、年度ごとに輸入枠を設定するようになった2017年度以降では最少となります。 これは新型コロナウイルスの影響で、外食用やお土産用のお菓子などに使われる業務用のバターの需要が落ち込んでいることや、学校給食や飲食店向けの牛乳や乳製品が行き場を失い、メーカーが日持ちのするバターに生産を切り替えたことから、国内の在庫が増えているためです。 農林水産省によりますと、去年12月末時点の在庫は、3万5000トンと、
変異した新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、世界各国がイギリスからの入国を停止する措置をとる中、イギリスとヨーロッパ大陸を結ぶ物流の大動脈であるドーバー海峡の周辺では輸送に混乱が生じる事態となっています。 イギリスでは感染力が強いとされる、変異した新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、世界各国がイギリスから旅客機の受け入れを停止するなどの措置をとっているほか、フランスは、物流の大動脈であるドーバー海峡を経由するトラックなどを含むイギリスからの入国を21日から停止しました。 これを受けて、ドーバー海峡のイギリス側では港の入り口に「フランス国境閉鎖」と案内が出され、周辺ではトラックなどが滞留していました。 ヨーロッパ大陸とを結ぶ輸送の混乱の影響で、イギリスでは生活必需品の供給が滞るのではないかという懸念が出ていて、スーパーマーケットの中には買い物客の長い行列ができたところもありました。 一方
韓国政府は、日本政府が去年7月から韓国向けの半導体の原材料など3品目の輸出管理を厳しくした措置は国際的な貿易ルールに違反しているとして、WTO=世界貿易機関に対し、裁判所にあたる小委員会の設置を求めて提訴しました。これまで日本政府は、安全保障上、必要な措置でWTOのルールには違反しないとの立場を示しています。 韓国の産業通商資源省が18日、NHKの取材に対して明らかにしたところによりますと、日本政府が去年7月から韓国向けの半導体の原材料など3品目の輸出管理を厳しくした措置は国際的な貿易ルールに違反しているとして、WTOに対し、裁判所にあたる小委員会の設置を求めて提訴したということです。 韓国政府は去年11月、韓国側の貿易管理の体制が不十分だなどとする日本政府との協議の進展に向け、日韓の軍事情報包括保護協定=GSOMIAを維持するとともに、WTOへの提訴の手続きを暫定的に停止することを明らか
イギリスは31日、47年間にわたって加盟してきたEU=ヨーロッパ連合から離脱します。2016年の国民投票以来、イギリスでは、離脱の条件などをめぐる激しい議論によって政治や社会が混乱しましたが、離脱が実現することで大きな転換点を迎えることになります。 しかし、去年12月に行われた総選挙で離脱の実現を主張するジョンソン首相率いる与党・保守党が圧勝したことで、混乱が続いてきた議会の審議はスムーズに進み、離脱関連の法案が今月可決されたことで離脱に必要な手続きは終わりました。 この結果、イギリスは前身であるEC=ヨーロッパ共同体を含めると、47年間にわたって加盟してきたEUから31日午後11時、日本時間の1日午前8時に離脱します。 ヨーロッパでは、1985年にデンマーク領のグリーンランドがECから離脱したことがありますが、加盟国の離脱は初めてで、発足以来、拡大を続けてきたEUにとっても正念場となりま
アメリカのトランプ大統領は、中国側が段階的に関税を引き下げることでアメリカ側と同意したと発言したことに対して、「まだ何も同意していない」と述べて否定しました。首脳会談での貿易協定の署名に向けて認識のずれが表面化した形で、交渉の行方は予断を許さない状況です。 これに対してトランプ大統領は8日、記者団に「中国は関税の撤回を望んでいるが、私たちはまだ何も同意していない」と述べ、中国側の見解を否定しました。 米中両政府はトランプ大統領と習近平国家主席が首脳会談を開いて、第1段階の貿易協定に署名する方向で調整が続いています。 しかし、中国が署名の条件として関税の引き下げを求めているのに対して、アメリカとしては中国が知的財産権の侵害の見直しなど改革にどれだけ取り組むか協議の中で見極めていく考えです。 今回、両者の認識のずれが表面化した形で、交渉の行方は予断を許さない状況です。
アメリカとEU=ヨーロッパ連合の航空機をめぐる貿易紛争で、WTO=世界貿易機関は2日、アメリカがEUに8000億円の報復関税をかけることを認めました。これを受けてアメリカ政府は、今月18日からEUから輸入される農産品などに最大25%の関税を上乗せする方針を明らかにしました。 WTOのルールでは是正されなかった場合、訴えた側が対抗措置をとることが認められていて、アメリカはWTOに報復関税を認めるよう求めていました。 これについてWTOは2日、アメリカに年間で最大75億ドル、日本円で8000億円の対抗措置を認める決定を発表しました。 この決定を受けてアメリカ政府は、報復関税を今月18日から発動する見通しを明らかにし、EUから輸入される農産品に25%、航空機にも10%の関税を上乗せするとしています。 ただ、WTOではアメリカのボーイングに対する補助金も不当だとする最終判断が示されていることから、
韓国への輸出規制を厳しくする措置をめぐって、日韓両政府による事務レベルの会合が、12日、初めて行われました。日本側は韓国側の貿易管理体制に課題があると指摘し、予防的な措置として実施したことなどを説明しました。また、貿易管理以外への対抗措置ではないと説明したということです。 経済産業省で行われた会合は非公開で、両政府から貿易管理を担当する課長などが出席しました。 会合は午後2時ごろから、当初の見込みを大幅に上回るおよそ5時間にわたって行われました。 経済産業省によりますと、会合では日本側が、規制を強化した半導体の原材料など軍事転用も可能な3品目について韓国側の貿易管理体制に課題があったと指摘し、予防的な措置として実施したと説明しました。 そのうえで、今回の措置は太平洋戦争中のいわゆる「徴用」の問題など、貿易管理の問題以外への対抗措置ではないことや、WTO=世界貿易機関のルールに反しないことな
安倍官邸の「FTAという言葉を使うな」圧力でNHKが過剰訂正! ペンス副大統領は「FTA」とツイートしたのに アメリカとの交渉開始を合意した「新たな貿易協定」について、包括的なFTA(自由貿易協定)ではなく物品の関税引き下げに限った「TAG」(物品貿易協定)であると必死になって言い張りつづけている安倍首相。そんななか、13日、NHKである“事件”が起こった。 13日の正午過ぎからはじまった、ペンス副大統領と安倍首相による共同記者発表。NHKはこの模様を正午の『NHKニュース』の時間を延長して生中継したのだが、その後、13時台のニュースのなかで、このような訂正を出したのだ。 “正午のニュースで安倍首相とペンス副大統領の共同声明が流れた際、ペンス副大統領の同時通訳で『2国間による貿易協定』を『FTA』と表現しましたが、これは誤りでした” そして、テロップで「×FTA・自由貿易協定 ○2国間によ
アメリカのオートバイといえば「ハーレー・ダビッドソン」。ふだんから斜に構え、政治とは無縁を装うハーレーのライダーたちですが、最近、トランプ大統領は、こうしたライダーたちの感情を揺さぶる大きな波紋を投げかけました。(ワシントン支局記者 栗原岳史) 「ハーレー・ダビッドソンは、アメリカを真に象徴するすばらしいメーカーだ!」 トランプ大統領がこう話したのは、去年2月のこと。 ハーレー・ダビッドソンは1903年創業の老舗企業。その会社をトランプ大統領は「メイド・イン・アメリカ」のお手本として持ち上げていました。 しかし、それからおよそ1年半後のトランプ大統領のツイッターでのつぶやきは…。 「まさか、ハーレーが最初に白旗を揚げるとは思ってもいなかった」 「もし本当に海外に移転を始めたら、終わりの始まりだ。負け犬め!」 トランプ大統領が発言を転換させた背景には、他ならぬトランプ大統領の政策があります。
アメリカのトランプ政権が、中国からの2000億ドルの輸入品に関税を上乗せする、これまでで最大の制裁措置を今月24日から発動すると発表したのに対して、中国政府は、制裁の発動と同じ日にアメリカからの600億ドルの輸入品に関税を課す報復措置を実施すると発表しました。 これに対して中国政府は、アメリカからの600億ドルの輸入品に最大で10%の関税を課す報復措置を、同じ24日から実施すると発表しました。 今回の報復措置が実施されると、アメリカから中国への輸入品の70%以上が関税上乗せの対象となります。 一方、トランプ大統領もさきほどツイッターに「アメリカの農家や労働者を標的にするなら、中国に対してすみやかに大規模な報復措置をとる」と書き込みました。 トランプ大統領は、次は中国のほぼすべての輸入品を制裁の対象にする方針を示しており、米中の貿易をめぐる制裁の応酬は一段とエスカレートし、全面的な対立に発展
アメリカの二輪車メーカー、ハーレーダビッドソンは、EU=ヨーロッパ連合がアメリカに対する報復措置として課した高い関税を避けるため、ヨーロッパ向けのバイクの生産を国外に移すことを明らかにし、強気の通商交渉を仕掛けて製造業のアメリカ回帰を訴えるトランプ大統領にとっては皮肉な結果となっています。 アメリカが、鉄鋼製品に25%の関税を課したのに対し、EUは先週から報復措置をとりアメリカ製のバイクへの関税を6%から31%に引き上げました。 会社によりますと、この措置でバイク1台当たりおよそ2200ドル、24万円の関税が上乗せされ、年間ではおよそ110億円にのぼるということです。ヨーロッパでの売り上げはアメリカに次ぐ規模だということで、会社は値上げせずに事業を継続するためには、やむを得ない選択だとしています。 製造業の国内回帰を訴えるトランプ大統領は、たびたびハーレーダビッドソンをメイドインアメリカの
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