姉のこと、本当に許せなかった。だけどさ、ちっちゃい頃、一緒に風呂に入ったことだとか、そんなのを思い出してポロリと涙してしまう自分もいる。絶縁しても、思い出は消せないんだ。あっちにいる甥っ子や姪っ子だって、オレにとってはかわいいんだよ。そのことまでは否定できないのさ。 まさか自分が、家族の恥ずかしいエピソードを売ってメシを食うことになるなんて思ってなかったよ。第一、こんなふざけた芸人やってて親父が自殺したとか、やっぱりキツかった。 でも、ずっと隠しておきたかった“ワケあり話”を話す気になったのは、現在の身の回りのことやらでモヤモヤしているものを抱えているからだろう。オレにとってこの仕事は疑似家族みたいなものだったから。30年も一緒に過ごしてきたけど、師匠が会社を去り、オレのもう一つの家族も崩壊したってわけさ。 そんな身辺のゴタゴタに加え、プライベートでは親父や姉に対する整理のつかない思いがい