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ブックマーク / blog.tatsuru.com (55)

  • 文字の書けない子どもたち - 内田樹の研究室

    高校の国語の先生から衝撃的な話を聴いた。生徒たちが文字を書けなくなっているというのである。教科書をただノートに筆写するだけの宿題を毎回課すが、やってくるのは半数以下。授業中に書いた板書をノートに写すようにという指示にも生徒たちは従わない。初めはただ「怠けているのか」と思っていたが、ある時期からどうもそうではないらしいことに気がついた。 『鼻』の作者名を問うテストに「ニコライ・ゴーゴリ」と答えを書いた生徒がいた。ゴーゴリもその名の短編を書いているが、教科書で読んだのは芥川龍之介である。どうしてわざわざゴーゴリと書いたのか生徒に訊ねたら「漢字を書くのが面倒だったから」と答えたそうである。 生徒たちの提出物の文字が判読不能のものが増えて来たという話は大学の教員たちからも聴く。学籍番号までは読めるが、名前が読むのが困難で、コメントの文字に至ってはまったく解読不能のものが少なくないという。何を書いた

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    raitu 2024/02/27
    “どうやら文字を書くという動作そのものに身体的な苦痛を感じる子どもが増えているらしい。  文字を書くというのはかなり精密で繊細な身体運用を要求する”
  • ドイツのあるジャーナリストの日本論 - 内田樹の研究室

    ドイツのある新聞の東京特派員が過去5年間の日の政府と海外メディアの「対立」について記事を書いている。 安倍政権の国際的評価がどのようなものかを知る上では貴重な情報である。 でも、日国民のほとんどは海外メディアが日をどう見ているのかを知らない。 日のメディアがそれを報道しないからである。 しかたがないので、私のような門外漢がドイツの新聞記者の書いたものをボランティアで日語に訳して読まなければならない。 このままでは「日で何が起きているのかを知りたければ、海外のメディアの日関連記事を読む」という傾向は止まらない。 そんなことまで言われても日のジャーナリストは平気なのか。 「ある海外特派員の告白 5年間東京にいた記者からドイツの読者へ」 Carsten Germis さて、荷造りも終わった。ドイツの日刊紙Frankfurter Allgemeine Zeitungの特派員として東

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    raitu 2015/04/10
    「2014年に事態は一変した。外務省の役人たちは海外メディアによる政権批判記事を公然と攻撃し始めた」事実ならもはや政府は自家中毒起こしてる
  • コミュニケーション能力とは何か? - 内田樹の研究室

    土木学会というところから「コミュニケーション能力について」の寄稿を頼まれた。 9月に書いて送稿したものが活字になって今日届いた。 学会誌なので、一般読者の目に触れる機会はないと思うので、そこに書いたものを採録しておく。 「コミュニケーション能力」とは何か 就活している学生が「これからはもっとも重視されるのはコミュニケーション能力だそうです」と言うので、「うん、そうだね」と頷きながらも、この子は「コミュニケーション能力」ということの意味をどう考えているのかなとちょっと不安になった。 たぶん「自分の意見をはっきり言う」とか「目をきらきらさせて人の話を聞く」とか、そういう事態をぼんやり想像しているのだろうと思う。 もちろん、それで間違っているわけではない。でも、どうしたら「そういうこと」が可能になるかについてはいささか込み入った話になる。 例えば、どれほど「はっきり」発語しても、まったく言葉が人

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    raitu 2013/12/29
    「バカの壁」的な話を角度を変えて説明してる記事
  • 福島原発事故 Nature誌から - (内田樹の研究室)

    9月3日のNature のEditorialに福島原発からの汚染水漏洩への日政府および東電の対応について、つよい不信感を表明する編集委員からのコメントが掲載された。 自然科学のジャーナルが一国の政府の政策についてここまできびしい言葉を連ねるのは例外的なことである。 東電と安倍政府がどれほど国際社会から信頼されていないか、私たちは知らされていない。 この『ネイチャー』の記事もこれまでの海外メディアの原発報道同様、日のマスメディアからはほぼ組織的に無視されている。 汚染水の漏洩で海洋汚染が今も進行しているとき、世界の科学者の知恵を結集して対応策を講ずべきときに、日政府は五輪招致と米軍のシリア攻撃への「理解をしめす」ことの方が優先順位の高い課題だと信じている。 五輪招致を成功させたければ、まず事故処理について日政府は最大限の努力をもって取り組んでいるということを国際社会に理解してもらうの

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    raitu 2013/09/06
    科学雑誌大手のNatureが http://www.nature.com/news/nuclear-error-1.13667 で安倍政権に「汚染水で五輪どころじゃねえだろ」「海への漏洩は人事じゃねえよ」「情報が足りなすぎるよ」「海外専門家にも手伝わせろよ」と言ってる件
  • 『風立ちぬ』 - 内田樹の研究室

    宮崎駿の新作『風立ちぬ』を観てきた。 宮崎駿は「どういう映画」を作ろうとしたのだろう。 もちろん、フィルムメーカーに向かって、「どういう映画を作りたいのですか?」とか「この映画を通じて何を伝えたいのですか?」というような質問をするのは意味のないことである(「言葉ですらすら言えるくらいなら映画なんか手間暇かけて作りませんよ」という答えが返ってくるに決まっている)。 でも、映画の感想を述べる立場からすると、このような問いを自問自答してみるというのは、決して無意味なことではない。 映画というのは、それについて語られた無数の言葉を「込み」で成り立っているものだからだ。 お門違いなものであれ、正鵠を射たものであれ、「それについて語る言葉」が多ければ多いほど、多様であればあるほど、賛否いずれにせよ解釈や評価が一つにまとまらないものであるほど、作品としては出来がよい。 私はそう判断することにしている。

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    raitu 2013/08/08
    「美しい国」「みどりの多い日本の風土」「ゆったりとした」団塊による戦前への憧憬(≒"三丁目の夕日"脳)は、なぜこんなにも見難く醜いのか。なぜ自分はそう感じるのだろうかと、ふと。
  • 最低賃金制の廃止について (内田樹の研究室)

    維新の会が選挙公約として「最低賃金制の廃止」を打ち出し、波紋を呼んでいる。 公約発表時点では、私の知る限りどの新聞もこの公約について主題的に検討しなかった。 無視したのである。 その後、ネット上で反対論が噴出して、それを承けてはじめて報道するに至った。 この問題についてのマスメディアの無関心と危機感の希薄さが気になる。 これまで繰り返し書いているとおり、現在日のエスタブリッシュメントは政官財メディアを挙げて「若年労働者の雇用条件の切り下げ」をめざしている。 その理由は何度も書いてきた。 「日中国化」である。 大飯原発再稼働のときの財界の主張をご記憶だろう。 日にはもう生産拠点を置き続けることはできない。 その理由として指摘されたのが、人件費が高い、法人税率が高い、公害規制がきびしい、電力料金をふくむ生産コストが高い、という点である。 ここで原発を止めて火力に切り替えるなら、もう

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    raitu 2012/12/01
    論旨は同意だが「若い働き手をほんとうに求めている業種については意図的に情報を遮断」というならそれがどこか示して広く知らしめるべきで、それが曖昧なので片手落ち
  • 幼児化する政治とフェアプレイ精神 - 内田樹の研究室

    できたばかりの石原慎太郎の太陽の党が解党して、橋下徹の日維新の会と合流。太陽の党との合流話を一夜で反古にされた河村たかしの減税日は「減税の看板をはずしたら仲間にいれてやる」と恫喝されて落ち込んでいる。渡辺喜美のみんなの党は維新への離党者が続出しているが生き延びるために維新との選挙協力の方向を探っている。 いわゆる第三極政局は「あの業界」の離合集散劇とよく似ている。 党名を「なんとか組」に替えて、笠原和夫にシナリオを書いてもらったらずいぶん面白い映画ができそうである。 残念なのは、登場人物の中に感情移入できる人物がひとりもいないことである。 状況的には河村たかしと渡辺喜美が『総長賭博』の中井信次(鶴田浩二)や『昭和残侠伝・人斬り唐獅子』における風間重吉(池部良)の役柄に近い「引き裂かれ」状態にある。甘言を弄しあるいは恫喝を加えて縄張りを奪おうとする新興勢力に抗して、なんとか平和裏に組を守

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    raitu 2012/11/19
    「「敗者を叩き潰す勝ち方」ではなく「敗者に敬意をもたれるような勝ち方」を学ぶことが指導者になるためには必要」というイギリスのフェアプレー精神(帝王学)について。
  • 中国離れについて - 内田樹の研究室

    尖閣国有化をめぐる日中の対立が経済に大きな影響をもたらし始めた。 日側ではトヨタ自動車が中国市場からの限定的な「撤退」を決めた。 工場の管理のむずかしさ、販売に対する国民感情の抵抗に加えて通関検査の強化で日からの部品供給が停滞するリスクを抱え込んだからだ。 現地生産台数を10月は白紙に(昨年は7万8千台)、高級車レクサスなどの輸出は停止する。 他にも中国に生産拠点を置いている企業、中国市場をメインターゲットにしている企業は軒並み株価を下げている。 コマツの株価は5月から33%減。日産自動車が18%減、ホンダが11%減。新日鉄、住友化学なども20~40%株価を下げた。 住友化学と言えば、経団連の米倉弘昌会長が会長をつとめる会社である。 その米倉会長は事態を重視して、トヨタの張富士夫会長らと昨日北京に飛んで事態鎮静のための交渉に当たっている。 経済界は日中での政治的対立の深まりをつねに懸念

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    raitu 2012/09/27
    今回の反日官製デモで一番恐ろしいのは、中共幹部にとって経済成長より権力闘争に勝つことが優先と明確になったこと。今後、団派と太子党の政争は必ず激化するし、その度に経済が落ちぶれていくのは目に見えてる。
  • 仕事力について - 内田樹の研究室

    4月に一ヶ月間、毎週一度朝日新聞の求人欄の上のコラムに「仕事力」というエッセイを連載しました。いつもの話ですけれど、就活する学生たちに対して言いたいことをわりとコンパクトにまとめてあるので、そういう立場にいる方はぜひご一読ください。 自分の適性に合った仕事に就くべきだと当たり前のように言われていますが、「適職」などというものがほんとうにあるのでしょうか。 僕は懐疑的です。 「キャリア教育」の名のもとに、大学2年生から就活指導が始まり、その最初に適性検査を受けさせられます。 これがいったい何の役に立つのか、僕にはまったくわかりません。 大学で教えている頃に、ゼミの学生が適性検査の結果が出たのだが、と困惑してやってきたことがありました。 「あなたの適職は1位キャビンアテンダント、2位犬のトリマーと出たんですけど、私は一体何になればいいのでしょう?」 就職情報産業は学生たちを、自分には「これしか

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    raitu 2012/05/02
  • 経済成長の終わりと贈与経済の始まりについて - 内田樹の研究室

    平松邦夫さんの新しい政治運動のためのシンポジウムがあった。 労働組合や既成政党が土台という「ふるい」タイプのムーブメントはもう賞味期限が切れていると思うけれど、それへのオルタナティブがみつからない。 「オルタナティブがみつからないで困ったよ」という全員の困惑がはっきり前面に出ていたという点で、私にはなんとなく新鮮であった。 平松さんの市長時代の最後のパーティは選挙応援のためのものだった。3000人くらい集まった集会で、たいへんな熱気だったけれど、労組、政党、業界団体が集票マシンになるという、「ふるいタイプ」の集まりだった。こういうやり方では変化の激しい時代には対応がむずかしいだろうという気がした。 そのときよりはるかに人数は減っていたけれど、昨日のシンポジウムでは明らかに「みんな戸惑っていた」。 これはよい徴候だろうと私は思った。 戸惑うときには、しっかり戸惑った方がいい。 今までのやり方

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    raitu 2012/04/08
    「商品を購入することへの欲望が失われた状態。それが成熟期の資本主義の実相」までは納得。イノベーション停滞の結果。イノベーションにはベンチャー起業促進が必須。だから金余りの爺さんは贈与でなく投資を
  • 困難な時代を生きる君たちへ - 内田樹の研究室

    神戸新聞の元日配達号に「中高生のために」一文を草して欲しいと頼まれた。 困難な時代を生きる君たちへというタイトルを頂いた。 神戸新聞購読者以外の方の眼には止まらなかったものなので、ここに再録する。 みなさんがこれから生きて行く時代はたいへんに困難なものとなります。 戦争に巻き込まれるとか、大災害に襲われるとかいうことではありません。そうではなくて、みなさんがこれから幸福な人生を送るために、どういう努力したらいいのか、その「やりかた」がよくわからないということです。 まじめに受験勉強をして、いい大学を出て、一流企業に就職したり資格や免状を手にすれば、あとは生計について心配はしなくてよいというような「人生設計」を立てることがむずかしくなった。 ただし、「むずかしくなった」だけで、まるで不可能になったわけではありません。そこがむしろ問題なんです。受験勉強なんか無駄、学歴なんか無意味、資格や免状も

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    raitu 2012/01/10
    個人的には逆。努力が報われないならせめて夢中になることを探せ、ではなく、答えのない世界でどうやって自分や社会にとっての未来への道を敷くかの試行錯誤そのものに夢中になることが救いだと思う。
  • ご飯を作り、お掃除をすることの英雄性 - 内田樹の研究室

    午から取材。BPという雑誌の村上春樹特集。 村上作品はどうして世界的なポピュラリティを獲得したのか、という問いに対して、「ご飯とお掃除」について書かれているからであろうとお答えする。 世界中、言語や信教や生活習慣がどれほど違っていても、人々は「ご飯を作り、掃除をする」ということにおいて変わらない。 いずれも人間にとって質的な営みである。 「ご飯を作る」というのは、原理的には「ありもの」を使って、そこから最大限の快楽を引き出すということである。 金にものを言わせて山海の珍味を集め、腕のいいシェフに命じて美を誂えさせるというのは「ご飯を作る」という営みの対極にある。 「ご飯を作る」というのは、人類史始まって以来のデフォルトである「飢餓ベース・困窮ベース」に基づいた営みである。 その基は「ありものを残さず使う」、もっと平たく言えば「えるものは何でもう」である。 村上春樹作品には「ご飯を

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    raitu 2011/11/22
    橋本治「プロデューサーの仕事はゴミを拾うことです。全部が見えている人間にしかゴミは拾えないのだから」
  • 格差と若者の非活動性について - 内田樹の研究室

    ある媒体から若者の労働観についてアンケートを受けた。 みじかい回答を期待していたはずだが、やたら長くなってしまったので、たぶんこのままでは掲載されないだろう。 自分としてはたいせつなことを書いたつもりなので、ここに転載して、諸賢のご叱正を乞うのである。 Q1.現在、世界では、経済格差(世代間格差ではなく、金持ちとそうではない人との格差)や社会への不満に対して、多くの若者たちが声を上げ、デモを起こし、自分たちの意見を社会に訴えようと行動しています。翻って日ではここ数十年、目に見える形での若者の社会的行動はほとんど見られません。これだけ若者たちにしわ寄せが行く社会になっているのに、そして政策的にも若年層に不利な方向で進んでいるのに、若者たちはなぜ、社会に対して何かを訴えたり行動したりしないのでしょうか? それは特に不満を感じていないからなのか、それともそうした行動に対して冷めているのか。ある

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    raitu 2011/10/18
    「「能力主義」「成果主義」「数値主義」が「弱者の連帯」という発想も、そのための能力も深く損なってしまった。私はそう考えています」
  • 被害者の呪い - 内田樹の研究室

    毎日新聞に三ヶ月に一度「水脈」というコラムを書いている。 いささか旧聞に属するが、そこに聖火リレーのことを書いた。 昨日の夕刊に出たので、もうブログに採録してもよろしいであろう。 こんな話。 オリンピックの聖火リレーをめぐる騒動を眺めていて、いささか気になってきた。何か「厭な感じ」がしたからである。何が厭なのか、それについて少し考えたいと思う。 熱い鉄板に手が触れたときに、私たちは跳びすさる。「手が今熱いものに触れており、このまま放置すると火傷するので、すみやか接点から手を離すことが必要である」というふうに合理的な推論してから行動するわけではない。たいていの場合、私たちはわが身に何が起きたのかを行動の後に知る。 聖火リレーにまつわる「厭な感じ」はそれに似ている。 だから、この論件については、誰の言い分が正しく、誰の言い分が誤っているというような「合理的」なことは申し上げられない。それは「

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    raitu 2011/10/06
    「「妄想」という漢語の印象から、私たちはそれを「想念が支離滅裂に乱れる」状態だと思いがちであるが、実はそうではなくて、「妄想」が病的であるのは、「あまりに型にはまっている」から」
  • 多数派であることのリスクについて - 内田樹の研究室

    神戸新聞に隔週で「随想」というコラムを書いている(これが二回目)。神戸新聞を読んでいない方のために再録しておく。 これは先週書いたもの。 橋下大阪府知事は、持論である大阪都構想に賛成の市職員を抜擢し、反対する市職員を降格するためのリスト作りを維新の会所属の大阪市議に指示した。 首長選の候補者が選挙に先立って公約への賛否を自治体職員の「踏み絵」にするというのは異例の事態である。 公務員が遵守義務を負うのは、憲法と法律・条例と就業規則だけのはずである。「大阪都」構想は、その当否は措いて、今のところ一政治家の私念に過ぎない。それへ賛否が公務員の将来的な考課事由になるということは法理的にありえまい。 まだ市長になっていない人物が市職員に要求している以上、これは彼に対する「私的な忠誠」と言う他ない。彼はそれを「処罰されるリスクへの恐怖」によって手に入れようとしている。 私はこの手法に反対である。 脅

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    raitu 2011/09/21
    「民主主義のルールには「少数意見の尊重」というものがある。私はこれはむしろ「多数派が空洞化することのリスク」として理解すべきことではないかと思っている」
  • 情報リテラシーについて - 内田樹の研究室

    朝日新聞の「紙面批評」に書いたものを再録する。 長すぎたので、紙では数行削られているが、これがオリジナル。 「情報格差社会」 情報格差が拡大している。一方に良質の情報を選択的に豊かに享受している「情報貴族」階層がおり、他方に良質な情報とジャンクな情報が区別できない「情報難民」階層がいる。その格差は急速に拡大しつつあり、悪くするとある種の「情報の無政府状態」が出現しかねないという予感がする。このような事態が出来した理由について考えたい。 少し前まで、朝日、読売、毎日などの全国紙が総計数千万人の読者を誇っていた時代、情報資源の分配は「一億総中流」的であった。市民たちは右から左までのいずれかの全国紙の社説に自分の意見に近い言説を見いだすことができた。国民の過半が「なんとか折り合いのつく範囲」のオピニオンのうちに収まっていたのである。これは世界史的に見ても、かなり希有な事例ではないかと思う。 欧

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    raitu 2011/09/16
    「情報リテラシーとは、それらがどのような間主観的構造によって「私の世界経験」に関与しているかを知ろうとすること」自己正当化に都合のいい情報だけ集めるのやめろや、って話でここまで冗長に書くのが内田先生
  • ネット上の発言の劣化について - 内田樹の研究室

    個人的印象だが、ネット上での匿名発言の劣化がさらに進んでいるように見える。 攻撃的なコメントが一層断定的になり、かつ非論理的になり、口調が暴力的になってきている。 これについては、前に「情報の階層化」という論点を提示したことがある。 ちょっと長い話になる。 かつてマスメディアが言論の場を実効支配していた時代があった。 讀賣新聞1400万部、朝日新聞800万部、「紅白歌合戦」の視聴率が80%だった時代の話である。 その頃の日人は子どもも大人も、男も女も、知識人も労働者も、「だいたい同じような情報」を共有することができた。 政治的意見にしても、全国紙の社説のどれかに「自分といちばん近いもの」を探し出して、とりあえずそれに同調することができた。 「国論を二分する」というような劇的な国民的亀裂は60年安保から後は見ることができない。 国民のほとんどはは、朝日から産経まで、どれかの新聞の社説を「口

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    raitu 2011/08/01
    60歳のお爺さんが「マス」メディア時代を懐かしむ話。ネットで情報格差が発生し、国内で見える世界が断絶するという危惧。でも僕は情報格差は緩和してきたと考える。かつてのメディア人-一般人の格差に比べれば。
  • 暴言と知性について - 内田樹の研究室

    復興相が知事たちに対する「暴言」で、就任後わずかで大臣を辞任することになった。 この発言をめぐる報道やネット上の発言を徴して、すこし思うことがあるので、それについて書きたいと思う。 松大臣が知事に対して言ったことは、そのコンテンツだけをみるなら、ご人も言い募っていたように「問題はなかった」もののように思われる。 Youtube で見ると、彼は復興事業は地方自治体の自助努力が必要であり、それを怠ってはならないということを述べ、しかるのちに「来客を迎えるときの一般的儀礼」について述べた。 仮に日語を解さない人々がテロップに訳文だけ出た画面を見たら、「どうして、この発言で、大臣が辞任しなければならないのか、よくわからない」という印象を抱いたであろう。 傲慢さが尋常でなかったから、その点には気づいたかもしれないが、「態度が大きい」ということは別に政治家が公務を辞職しなければならないような

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    raitu 2011/07/06
    今回最大の問題は「オフレコだから。書いた社は終わり」発言にある。そこがマスコミの逆鱗に触れた。そしてその程度の事も判断出来ない松本元復興相の政治的無能さこそが、辞めさせるべき最大の理由だった。
  • personal power plant のご提案 - 内田樹の研究室

    関西電力は10日、大企業から一般家庭まで一律に昨夏ピーク比15%の節電を求めた。 どうして、一律15%削減なのか。関電がその根拠を明示しないことに関西の自治体首長たちはいずれもつよい不快を示している。 関電の八木誠社長は会見で、節電要請は原発停止による電力の供給不足であることを強調した。 しかし、どうして首都圏と同じ15%で、時間帯も午前9時から午後8時までと長いのか。 会見では記者からの質問が相次いだが、関電から納得のいく説明はなかった。 関電は経産省からの指示で、今夏を「猛暑」と予測し、電力需要を高めに設定している。 だが、同じ西日でも中国電力などは「猛暑」を想定していない。 また、震災で関西へ生産拠点が移転することによる電力需要増や、逆に、震災で販路を失った関西企業の生産が減少する場合の電力需要減などの増減予測については、これを示していない。 15%の積算根拠としては、猛暑時の電力

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    raitu 2011/06/13
    だから、日本の独占電力供給会社は最早ヤクザなんだって。いくら社員には優しかろうが、電力供給を盾に原発使わせろと社会を脅すような反社会的企業は最早ヤクザに他ならない。発送電分離しかないよ。
  • 未曾有の災害のときに - 内田樹の研究室

    3月13日 東日巨大地震から三日目。 朝刊の見出しは「福島原発で炉心溶融の恐れ」と「南三陸町で1万人行方不明」。 16年前の大震災を超える規模の国家的災厄となった。 これからどうするのか。 このような場合に「安全なところにいるもの」の基的なふるまいかたについて自戒をこめて確認しておきたい。 (1)寛容 茂木健一郎さんも今朝のツイッターで書いていたけれど、こういう状況のときに「否定的なことば」を発することは抑制すべきだと思う。 いまはオールジャパンで被災者の救援と、被災地の復興にあたるべきときであり、他責的なことばづかいで行政や当局者の責任を問い詰めたり、無能力をなじったりすることは控えるべきだ。彼らは今もこれからもその公的立場上、救援活動と復興活動の主体とならなければならない。不眠不休の激務にあたっている人々は物心両面での支援を必要としている。モラルサポートを惜しむべきときではない。

    raitu
    raitu 2011/03/13
    かつて阪神大震災を経験した内田先生。「寛容」、「臨機応変」、「専門家への委託」