「妊娠中のムラムラ」 「妊婦のセックス」 「胎児のアソコの呼び方」 これは、ゴシップ誌のエロ記事の見出しではない。いたってマジメな育児マンガ『ママだって、人間』(田房永子/河出書房新社)の目次に連なる項目である。田房氏は、“毒親”との戦いを描いたコミックエッセイ『母がしんどい』(新人物往来社/2012年刊)で話題を呼んだマンガ家だ。その彼女が、自身の妊娠・出産・子育ての経験を描いたのが本書だ。 「子」だった田房氏が「ママ」となった今、何を想い、何を感じるのか…? 物語は、主人公のエイコ(32歳)の妊娠から始まる。感動的・神秘的など、とかく美化されがちな妊娠・出産・子育てを扱った「育児マンガ」に慣れた読者に、田房氏は強烈なストレートパンチを繰り出す。母性ではなく性欲が止めどなく湧き出たという妊娠期間。夢の中で勝手にオーガズムに達してしまう「夢ーガズム(ムーガズム)」。医者にも相談できない日々