発酵具合を見る石井律さん。「自分の分身みたい。様子がいつも気になります」=鹿児島県屋久島町安房 焼酎に魅せられて関西から芋焼酎の本場・鹿児島に移り住み、屋久島で杜氏(とうじ)になった女性がいる。本坊酒造屋久島伝承蔵の石井律さん(29)。9月から蔵の長を務める。「お母さんの手料理のように、飲むと安心する焼酎を造りたい」。伝統に若さが加わった新味に期待がかかる。 世界自然遺産の屋久島。空港から車で約15分。前岳などの山々を望む島東部にこの伝承蔵はある。島の超軟水と県産芋で「太古屋久の島」や販売先限定の「大自然林」「無何有(むかう)」などの焼酎を生み出す。 仕込みは9月から翌年2月。蔵には1887(明治20)年から受け継がれる約60の瓶(かめ)つぼが並ぶ。石井さんはプクプクと発酵するもろみを確かめながら話す。「もろみはおいしいものを一緒にめざすパートナーみたいなものです」 大阪市淀川区で