ニヒルな個性派俳優として人気だった根津甚八さんが29日、深部静脈血栓症および肺塞栓(そくせん)症による肺炎のため東京都内の病院で死去した。69歳だった。葬儀・告別式は故人の遺志により近親者のみの密葬で行う。舞台、テレビドラマ、映画などで活躍したが2001年ごろに目の病気を発症。交通事故を起こし被害者が亡くなったことで活動を自粛、うつ病なども発症し、10年に俳優を引退していた。 ギラギラした時代のアングラ演劇の闘士がまた1人、幕を下ろした。根津さんは9歳で川崎市に引っ越し、日大三高時代に演劇に目覚めた。67年に獨協大学に進むと、演劇研究会に入会。全共闘運動の嵐のさなか、肉体を表現手段とする唐十郎の考えに共鳴、大学を中退し新宿・花園神社の紅テントで活動する状況劇場に飛び込んだ。 安定した演技力はもとより、陰のある表情がファンをひきつけ、一躍トップスターに。なかでも71年「少女仮面」の腹話術師で