夜が明けると右側にはアフリカが広がっていました。左側にはスペインの国土が見えます。ここはヨーロッパ大陸とアフリカ大陸に挟まれたジブラルタル海峡。穏やかな波の向こう、おぼろげに霞む初めて見るアフリカの地形は急峻で迫力があり、その先に広がっているであろう野生動物の王国を連想させるには十分でした。 風もなく海はいたって穏やか、よく見ると船の舳先には波とじゃれ合うようにイルカ達の姿も。 今回は船の上での1週間の生活とあって、いつでも描けるようにスケッチブックにペンや色鉛筆などの基本的な画材は持ってきてはいました。 しかしそれは1日目にして使わないことに決めました。波が穏やかとはいえそこは海、画面に向かいだすとやはりすぐに酔ってしまいます。また絵を描き始めるとどうしても画面に集中してしまい、貴重な目の前の景色を見逃してしまうと思ったからです。 今一番大事なことは絵を描くことより海を全身で感じること。