なぜ組織の上層部ほど無能だらけになるのか? 張り紙が増えると事故も増える理由とは? 飲み残しを放置する夫は経営が下手? 注目の新刊『世界は経営でできている』では、東京大学史上初の経営学博士が「人生がうまくいかない理由」を、日常・人生にころがる「経営の失敗」に見ていく。 ※本記事は岩尾俊兵『世界は経営でできている』から抜粋・編集したものです。 合理を追求するはずの科学(自然科学、人文科学、社会科学すべて含む)は、不合理で非科学的な悲喜劇で満ち溢れている。 肝心の政府による科学振興のための政策(科学行政)からして「不合理を追求する」という崇高な使命に忠実に見えるほどだ。科学行政に関わる政治家・官僚は、極めて真面目に、悪意なく、悲喜劇を演じてしまっている。 たとえば、科学行政は科学者に対して科学研究に必要な費用を助成する代わりに、何十枚何百枚という管理書類を要求する。なんとその量たるや論文よりも
未来省(The Ministry for the Future) 作者:キム・スタンリー・ロビンスン,坂村健パーソナルメディアAmazonこの『未来省』は、『レッド・マーズ』、『グリーン・マーズ』、『ブルー・マーズ』の三作からなる火星三部作や『2312 太陽系動乱』などで知られるキム・スタンリー・ロビンソンが2020年に刊行した気候変動SF長篇だ。キム・スタンリー・ロビンソンは「細部へのこだわりと、世界や社会、人類といった大きなものをまるごと描こうとするヴィジョン」のどちらもを持ち合わせる稀有な作家だが、本作は”気候変動vs人類”という中心テーマに対して、その才能をいかんなく発揮している。 最初に概要と総評を紹介する 近年実際に災害が増えていることもあって、気候変動をテーマにした小説(Climate Fiction)は欧米で伸びているジャンルだが、本作は数あるcli-fiの中でもとりわけ大
このテキストは岩崎夏海・稲田豊史の両氏による『ゲームの歴史』の1、2、3の中で、ゲームの歴史的に見て問題があり、かつ僕が指摘できるところについて記述していくテキストだ。 該当の本は、ハッキング・箱庭・オープンワールド・疑似3D・2Dなどの通常のゲーム&コンピュータ用語に筆者の独自解釈が含まれていて、それを筆者の都合に応じて定義をいじりながら論を展開するために、極めて独特の内容になっている。 例えば3D描画で背景をテクスチャで埋めると3D+2Dの疑似3Dになると言われたら、普通のゲーム屋なら目を白黒させるだろう。ただ、それは筆者の主張なので「自分はそこは批判はしないが、筆者の見方には全く同意できない」とだけ書いておく。 また、これは史観なのだから実際の歴史から離れていてもいいという主張もあるかもしれないが、それは前書きの段階で無理があると言わざるを得ない。 本書は、ゲームの歴史について書いた
このあいだ小熊英二『基礎からわかる論文の書き方』(講談社現代新書、2022年)を読みました。 本書の話をする前に、著者の小熊英二さん(1962~)について。それが本書を語るうえで大事なのです。ご存じの方も再確認ということで。 *** 小熊さんは著名な社会学者で慶応義塾大学教授。東京大学の農学部を卒業後、岩波書店に数年勤務しましたが、東大の社会科学系の大学院に入りなおして博士号を取得。 大学院在学中に、修士論文を書籍化した『単一民族神話の起源』(1995年)が出版され、評判となる。 その後は博士論文にもとづく『〈日本人〉の境界』(1998年)や、『〈民主〉と〈愛国〉』(2002年)、『1968(上・下)』(2009年)などを著す。これらの代表作はいずれも、近現代の日本の社会・思想を扱った学術的な大著です。このほかにも、話題になったいくつもの著作がある。 それらの仕事は高い評価を得ていますが、
宮崎駿監督は、編集者・音楽評論家の渋谷陽一が『風立ちぬ』について「この映画は、戦争が大きなテーマになっているんですけども」と問うたのに対して、「戦争そのものじゃないですけどね。モダニズムですよね」と答えている。この「モダニズム」は『風立ちぬ』を理解する上で重要なキーワードだ。『風立ちぬ』は「モダニズム」を接点にして、『坂の上の雲』(司馬遼太郎)や宮崎自身の監督作である『もののけ姫』と繋がっている。 「目の前に果てしない道が開けたような気がします」 『風立ちぬ』は零戦を設計したことで知られる設計技師・堀越二郎にインスパイアされた作品だ。本作の主人公・堀越二郎は、実在の人物と同じく軍用機開発に携わってはいるものの、その人生には小説家の堀辰雄の小説のモチーフが組み入れられている。堀は堀越と同時期に東京帝国大学に在学していた同時代人である。 『風立ちぬ』は、結核で婚約者を失うという展開とタイトルを
『鬼滅の刃』大ヒットの背景には、既存のアニメ業界の常識を覆す「視聴の最大化」という流通戦略があった! 1兆円規模の「鬼滅経済圏」が成立した要因を、データから分析する 興行収入400億円超えと、空前の大ヒットとなった『鬼滅の刃』の劇場版『無限列車編』や、リリースから3か月で約300億円の売上をあげた『ウマ娘 プリティーダービー』。栄枯盛衰の激しいコンテンツ業界の中にあって、なぜこれらのタイトルが爆発的なヒットを成し得たのか? 2021年10月14日に発売された『推しエコノミー 「仮想一等地」が変えるエンタメの未来』は、そうした疑問を考えていくうえで非常に参考になる一冊である。 本著は、バンダイナムコにてコンテンツビジネスに実際に従事した経験を持ち、現在でもブシロードの顧問などを務める中山淳雄氏が、実務で得た経験をベースにしつつも、半ばライフワークとして調べ上げた詳細な分析内容を、まとめ上げた
gundam-hathaway.net 『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の映画版をふと、見に行きたくなったので見に行った。 『閃光のハサウェイ』は、もちろん小説版が出た頃に読んでいる。つまらなかったわけではないけども深い印象は残らなかった。そもそも小説版のガンダムは、だいたいアニメ版に比べてネットリしていて自分の口に合わない。 機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ 文庫 1-3巻セット (角川文庫―スニーカー文庫) (角川スニーカー文庫) 作者:富野 由悠季角川書店(角川グループパブリッシング)Amazon だから映画『閃光のハサウェイ』には別に期待していなかった。ところがツイッターでちょっと気になる文章が目に留まった。 ウワァァーーーーーーーーーー閃光のハサウェイめちゃめちゃ良かった!!! びっくりした!!! こんなにいいんだ!— マシーナリーとも子@サイボーグVTuber (@ba
「PlayStation 5」分解レポート。ソニーらしいこだわりに満ちた設計を,実機をバラして改めて確認してみた 編集部:小西利明 カメラマン:佐々木秀二 4Gamer恒例(?)の最新ゲーム機分解レポート。今回はいよいよ「PlayStation 5」(以下,PS5)の分解に挑戦する。今回の分解に使用したのは,UHD BDドライブを内蔵する通常版のほうだ。 今回,分解するPS5(左)と製品ボックス(右)。筆者が某量販店の抽選に当選して入手した貴重な1台だ 実のところ,今回のPS5ほど気が進まない分解もない。PS5は入手困難で,4Gamer編集部にすら片手で数えられる台数しかないのだ。そんな状況で,せっかく抽選に当選して購入した1台を分解してしまうのだから,気が進まないのも当然だろう。そのうえ,ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下,SIE)が分解と内部の紹介を行う動画を掲載しており
RTX 2080 Tiに劣らない性能で消費電力と価格は低い優れたGPU GeForce RTX 3070 Founders Edition Text by 宮崎真一 Turing世代のハイエンド製品だった「GeForce RTX 2080 Ti」(以下,RTX 2080 Ti)の性能を凌駕するAmpere世代の「GeForce RTX 3080」(以下,RTX 3080)は,インパクトがかなり大きかった。しかし,いくら高い性能を発揮するとはいえ,10万円前後という価格のグラフィックスカードには,おいそれとは手が出ない人は多いだろう。 そんなゲーマーが待ち望んでいるのは,Ampere世代のミドルハイクラスとなる「GeForce RTX 3070」(以下,RTX 3070)ではないだろうか。 GeForce RTX 3070 Founders Edition メーカー:NVIDIA 価格:49
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