本検査は,肺非小細胞癌,特に肺扁平上皮癌の診断,治療効果のモニタリングの場合に実施される.肺非小細胞癌の診断とモニタリング:肺癌の85~90%を占める肺非小細胞癌で高い陽性率を示す.腺癌でCEAと同程度,SCCよりも高い陽性率を示し,また,扁平上皮癌では他のマーカーより高い陽性率を示す.化学療法および術後の臨床経過に伴い,病態を的確に反映しており,治療効果のモニターとして有効なマーカーである.なぜなら,シフラは細胞の破壊による逸脱ではなく,腫瘍細胞内のプロテアーゼ亢進に起因するサイトケラチンフラグメントの分解によるものであるので,手術や化学療法,放射線療法自体による細胞傷害の影響を受けないからと考えられる.肺扁平上皮癌の早期診断:肺扁平上皮癌において病期Ⅰ・Ⅱの早期癌でも60%以上の陽性率を示し,早期診断にも非常に有効なマーカーとして期待される.