新型コロナウイルス禍は東京に人、モノ、情報が集まる一極集中型の日本社会を変えるだろうか。公共政策を専門とする広井良典・京都大学こころの未来研究センター教授に聞いた。【聞き手・堀和彦】 ――コロナは、東京一極集中の是正にどう影響しますか。 ◆コロナは移住や分散型社会への移行を促すひとつのきっかけだが、コロナだけが要因になるとは思っていない。人口減少のほうが、中長期的に大きな意味を持ってくると思う。一極集中が進んだのは、人口や経済が拡大を続けた高度経済成長期だ。良くも悪くも中央集権化が強固になった。それは工業化社会と関連していて、鉄道を引くにも、道路をつくるにも地方だけでは完結せず、国レベルで実施する必要があったからだ。 だが、ポスト工業化の時代になり、2011年からは完全な人口減少社会に入った。東京に向かって全てが流れる構造自体が大きく変わり、これまでと逆の局面に入った。学生や若い世代をみて