内容 大量死をもたらした出来事の展示をめぐって 二度の世界大戦をはじめ、大規模な災害や事故、公害など、近代の歴史は惨禍に満ちている。近代国家の成立と共に誕生したミュージアムは、これらの惨禍を記憶し、それに公的な意味を与えることを求められてきた。ミュージアムは、国家や公共団体が与える意味を展示のかたちで再現する媒体にすぎないのか。そうではなくて、ミュージアムが新たな意味の地平を切り開き、来館者を思索と討議へといざなうことはできないのか。本書は、さまざまなミュージアムの試みの検討を通じて、ミュージアムの可能性を追求した本格的論集である。 目次 はしがき (竹沢尚一郎) 序論 フォーラムとしてのミュージアム (竹沢尚一郎) 第Ⅰ部 戦争の展示:複数形の展示は可能か 第1章 歴博「現代展示」と戦争認識 (安田常雄) 第2章 アウシュヴィッツをおとずれること