風や水で動く彫刻作品で世界的にその名を知られる新宮晋さん(84)は「風の彫刻家」と呼ばれ、絵本作家としても人気が高い。豊かな発想の源といつまでも若々しい理由を聞くために、雪が舞う兵庫県三田市のアトリエを訪ねた。 サンダリーノ誕生JR福知山線の新三田(しんさんだ)駅を降り、タクシーで山里を目指すこと約30分。新宮さんのアトリエは人里離れたところに、まるで隠れ家のように建っている。 山の麓。すぐそばには池がある。自然に抱かれたこの場所で、新宮さんは作品のアイデアを練り、絵本のストーリーを考える。 もともと大阪府豊能町にあったアトリエが手狭になり、三田に移したのは平成2年のこと。 「三田なんかどう?」 そう元兵庫県知事の坂井時忠氏(1911~90年)に勧められ、引っ越してきたのだという。24年後には市内の兵庫県立有馬富士公園に、風で動く自身の大型彫刻12点を常設した「風のミュージアム」もできあが