今回、立岩さんは赤と青の本を刊行されましたが、これは二冊で一揃いですね。これはまごうかたなき「社会学」の本であり、それ以外のジャンルではないというのが僕の率直な読後感です。 赤の本、『不如意の身体』には、冒頭に障害と病に関する契機として、身体には(1)機能の差異、(2)姿形・生の様式の違い、(3)苦痛、(4)死、(5)加害性、という五つがあると掲げられ、そこを基点にこの社会がどう描けるかが語られていきます。 立岩さんは、例えば「障害は何か」という問いの立て方はよくないと言う。それでは「障害」のみを取り出すことになり、社会における障害の位置は変わらないままだと。この本を読んで面白かったのは、その疑義からなる、立岩さん独自の「問いの立て方」でした。 青の『病者障害者の戦後』では、国立療養所における〈生政治〉の歴史が語られます。もともと結核やハンセン病の人たちを収容するところから始まった国立療養