(福島 香織:ジャーナリスト) 中国の名門大学・清華大学法学院教授の許章潤が停職処分となって取り調べ中であることが3月末に明らかになった。習近平に対する批判文章をネットにあげたことなどが原因だ。 清華大学法治と人権研究センターの主任を務める許章潤は、2005年に中国全国十大傑出青年法学家として表彰されている。いわゆる良心的知識人の1人として、国内外で尊敬を集めてきた。 それが習近平に苦言を呈しただけで事実上の公職追放となれば、中国のアカデミズムに対する国際的信用を大きくそこないかねない。許章潤の処遇に対して、中国人知識人たちも沈黙しているわけにはいかない。 国民の8つの心配事と許章潤の8つの提言 問題となった許章潤の習近平批判文章は、「我らの目下の恐怖と期待」というタイトルで2018年7月に天則経済研究所のサイトに発表された。 要約すると、以下のような内容だ。 「国民全体が、国家の発展方向