普段の私たちの世界では見えないものを見えるようにする。科学の重要な役割です。たとえばX線を使ったレントゲン撮影やMRIもそのひとつです。しかし、X線よりももっと弱いエネルギーの波、可視光、マイクロ波、超音波などを使って、ほとんどあらゆるものの「中身」を、死角なく見えるようにする技術を世界で初めて開発したのが、神戸大学大学院理学研究科教授の木村建次郎(きむら・けんじろう)氏です。 木村氏は自身の技術を実用化するための大学発スタートアップ企業Integral Geometry Science(インテグラル・ジオメトリー・サイエンス)の創業者で、取締役CSO(Chief Strategy Officer、最高戦略企画責任者)でもあります。本記事では3回にわけてその新技術と、それによって可能になったさまざまな実用化の事例について紹介していきます。今回は、その技術の根幹となる、木村氏が確立した世界初