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ブックマーク / itlaw.hatenablog.com (18)

  • ベンダが提供していない決済モジュールの不具合による情報漏洩事故 東京地判令2.10.13(平28ワ10775) - IT・システム判例メモ

    ECサイトにおけるクレジットカード情報漏洩事故が、決済代行業者から提供されたモジュールの不具合があったという場合において、開発ベンダの責任がモジュールの仕様・不具合の確認まで及ぶか否かが問われた事例。 事案の概要 Xが運営するECサイト(件サイト)において、顧客のクレジットカード情報が漏洩した可能性があるとの指摘を受けて、Xは、件サイトにおけるクレジットカード決済機能を停止した(件情報漏洩)。その後、Xはフォレンジック調査を依頼し、不正アクセスによってクレジットカード会員情報が漏洩したこと、クレジットカード情報はサーバ内のログに暗号化されて含まれていたが、復号することが可能だったこと、漏えいした情報は最大で約6500件だったこと等が明らかとなった。 Xは、件サイトを、Yとの間で締結した請負契約(件請負契約)に基づいて開発したものであって、件サイトの保守管理についても件保守管理

    ベンダが提供していない決済モジュールの不具合による情報漏洩事故 東京地判令2.10.13(平28ワ10775) - IT・システム判例メモ
  • 準委任契約に基づく報酬請求と善管注意義務違反 東京地判令2.9.24(平28ワ28934) - IT・システム判例メモ

    開発は途中で終わった場合でも、準委任契約に基づく報酬請求はできるが、適切な計画立案・実行ができていなかったとして善管注意義務違反が認められた事例。 事案の概要 イベント企画会社Yは、自社の企画するイベントを管理するためのシステム(件システム)の開発をXに依頼することとした。 平成28年3月にXは開発に着手したが、その時点では契約書が取り交わされておらず、4月になって、X・Y間で以下の内容(抜粋)の契約書が取り交わされた(件契約)。 1条2項 件契約は,Xが(中略)業務に従事する技術者の労働をYに対し提供することを主な目的とし,民法上の準委任契約として締結されるものとする。したがってXは,善良なる管理者の注意義務をもって(中略)業務を実施する義務を負うものとし,原則として成果物の完成についての義務を負うものではないものとする。 3条3項 前各項にかかわらず,Yは,Xの件サービスの業務

    準委任契約に基づく報酬請求と善管注意義務違反 東京地判令2.9.24(平28ワ28934) - IT・システム判例メモ
  • 放置系RPGの著作権侵害 知財高判令3.9.29(令3ネ10028) - IT・システム判例メモ

    スマートフォン用RPGゲームの著作権侵害が争われた事例。 事案の概要 放置系RPG*1と呼ばれるジャンルのA(Xゲーム*2)に係る著作権を共有するXが,同じジャンルのB(Yゲーム*3)を配信するYに対し,著作権(複製権,翻案権,公衆送信権)を侵害するとして,著作権法114条2項に基づく損害賠償4800万円,弁護士費用960万円等と,同法112条1項及び2項に基づいて差止めと記憶媒体からの削除を求めた。 原審(東京地(47部)判令3.2.18(平30ワ28994号))では,著作権の帰属から争われていたが,XがXゲームの共有持分権を有することは認めつつも,YゲームはXゲームの構成,機能,画面配置等及びこれらの組合せを複製又は翻案したものであるとはいえず,Yゲームに係るソースコードはXゲームに係るソースコードを複製又は翻案したものであるともいえないとして,Xの請求をいずれも棄却した。 Xは,損

    放置系RPGの著作権侵害 知財高判令3.9.29(令3ネ10028) - IT・システム判例メモ
  • ハッシュタグ使用と商標的使用 大阪地判令3.9.27(令2ワ8061) - IT・システム判例メモ

    他社のブランド名のハッシュタグを使用したメルカリの出品者に対して,商標権侵害を認めた事例。 事案の概要 Xは,指定商品を「かばん類」などとする商標「シャルマントサック」(標準文字。件商標)の商標権者であり,Y(個人)は,自らが製造するかばんなどの商品をメルカリに出品して販売していた。 Yの商品紹介ページには,以下のように「#シャルマントサック」というハッシュタグ表示があった。 Xは,件商標と同一ないし類似する表示を行っているとして,件商標権に基づいて,表示行為の差止め(商標法36条1項)を求めた。 ここで取り上げる争点 (1)商標の「業として」の使用 商標法2条1項では「業として」商品を生産等する者が使用するものを「商標」としている。Yは,余暇を使用して趣味のバッグを製作していたにすぎないから「業として」には当たらないと主張していた。 (2)商標的使用の有無 Yは,ハッシュタグは,ウ

    ハッシュタグ使用と商標的使用 大阪地判令3.9.27(令2ワ8061) - IT・システム判例メモ
    nakex1
    nakex1 2021/10/17
    フリマサイトへのハンドメイド作品出品に伴い他者の商標をハッシュタグに使用した事例。
  • 1ライセンスでの使用可能な範囲の解釈と,違約金合意の有効性 東京地判令3.3.24(平30ワ38486) - IT・システム判例メモ

    ソフトウェアの1ライセンスで許諾される利用可能な範囲と,通常料金の10倍という高額な違約金を定める条項の有効性が問題となった事例。 注:知財高判令3.11.29(令3ネ10035)にて,原審が維持されている。特に特筆すべき個所はない。 事案の概要 Xは,メタボリックシンドロームに着目した健康診査及び保健指導に関するデータ作成用のプログラム(件プログラム)の著作権者である。件プログラムには,平成30年のアップデート前の件旧プログラムと,アップデート後の件新プログラムがある。 Xは,Y社と,平成20年8月に件旧プログラムの使用許諾契約1ライセンス分(件平成20年契約)を締結し,Yは,件旧プログラムを使用していた。その後,平成30年3月に件プログラムがアップデートされ,Yとの間で件新プログラムの使用許諾契約(件平成30年契約)が締結された。件平成30年契約では,契約で明示さ

    1ライセンスでの使用可能な範囲の解釈と,違約金合意の有効性 東京地判令3.3.24(平30ワ38486) - IT・システム判例メモ
  • 事業者による「合理的」判断について(モバゲー規約控訴審)東京高判令2.11.5(令2ネ1093) - IT・システム判例メモ

    モバゲー会員規約の免責文言について,適格消費者団体が不当条項に当たると主張していた事件の控訴審判決。 事案の概要 B2Cサービスの規約中の「不当に迷惑をかけたと当社が判断した場合」などの文言が不明確であり,それによって事業者が会員資格を取り消したとしても事業者は責任を負わないとする文言は,消費者契約法8条1項にあたる不当条項であるとして,適格消費者団体Xが,同法12条3項に基づいて,Yに対して,差止(この条項を含む契約の申込み,承諾の意思表示をしないこと)を求めた事案である。 一審(さいたま地判令2.2.5)では,その当時の下記の文言について, 7条(会員規約の違反等について)1 M会員が以下の各号に該当した場合,当社は,当社の定める期間,サービスの利用を認めないこと,又は,M会員の会員資格を取り消すことができるものとします。(略) a 会員登録申込みの際の個人情報登録,及びM会員となっ

    事業者による「合理的」判断について(モバゲー規約控訴審)東京高判令2.11.5(令2ネ1093) - IT・システム判例メモ
    nakex1
    nakex1 2021/07/19
    「不当に迷惑をかけたと当社が合理的に判断した場合」という規約は明確性を欠くとされた。まあ,結局は具体的事案では一方が勝手に合理的と言ってもダメで合理性を争うことになるものな。
  • 取締役退任後の引継義務履行としてのパスワード開示請求 大阪高判平31.3.27(平30ネ1767) - IT・システム判例メモ

    在職中に業務に関するインスタグラムのアカウントを担当していた取締役に対し,パスワードの開示等を求めた事案。 事案の概要 Yは,X社の代表取締役として,個人のgmailアドレスを用いてインスタグラムのアカウント(件アカウント)を作成し,Xが販売していた商品の写真等を投稿していた。Yは他にも,元ラグビー日本代表選手であったことから,件アカウントには仲間のラグビー選手の写真なども投稿されていた。なお,件アカウント名の一部には,Xのブランド名が含まれていた。また,アカウントのホーム画面にはXのウェブサイトのリンクが設置されていた。 Yは平成29年5月1日にXの代表取締役を退任し,取締役も辞任した。その後,Xは,件アカウントにログインできないことから,商品の写真を投稿することができず,利用者が減少して営業上の損害を被ったとして,Yに対し,取締役辞任に伴う引継義務(民法645条,会社法330条

    取締役退任後の引継義務履行としてのパスワード開示請求 大阪高判平31.3.27(平30ネ1767) - IT・システム判例メモ
    nakex1
    nakex1 2020/09/24
    個人のSNSアカウントを所属組織の広告目的で使用していた場合における退任・退職後の取り扱いについて。
  • モバゲー会員規約における免責条項の差止 さいたま地判令2.2.5(平30ワ1642) - IT・システム判例メモ

    B2Cサービスの規約中における「当社は一切損害を賠償しません」という条項が消費者契約法が定める不当条項に該当するかが争われた事例。 事案の概要 件は,消費者契約法(法)13条1項所定の適格消費者団体であるNPO法人Xが,Y(DeNA)が運営するポータルサイトM(モバゲー)が提供する会員規約に,法8条1項に定める不当条項が含まれているとして,Yに対し,法12条3項に基づいて,下記条項のうち7条3項及び12条4項を含む契約の申込み又は承諾の意思表示の停止等を求めた事案である。 7条(会員規約の違反等について) 1 M会員が以下の各号に該当した場合,当社は,当社の定める期間,サービスの利用を認めないこと,又は,M会員の会員資格を取り消すことができるものとします。(略) a 会員登録申込みの際の個人情報登録,及びM会員となった後の個人情報変更において,その内容に虚偽や不正があった場合,または重

    モバゲー会員規約における免責条項の差止 さいたま地判令2.2.5(平30ワ1642) - IT・システム判例メモ
    nakex1
    nakex1 2020/02/11
    BANに際してその理由が説明されなかったという不満が訴訟の背景にあるようだ。このような運用はWEBサービスではよく見られるが,利用規約の文言さえ整っていれば今後もそれが続くのだろうか。
  • SQLインジェクション対策不備の責任 東京地判平30.10.26(平29ワ40110) - IT・システム判例メモ

    SQLインジェクション対策をしていなかったことについて開発会社の責任が問われた事例。 事案の概要 Xは,Yに対し,Xの提供する車・バイクの一括査定システム(件システム)の開発を約320万円で委託し,平成24年9月に納品を受けた。 その後Xは,平成28年12月に,IPA*1から,中国のサイトに件システムの脆弱性に関する情報が掲載されているという指摘を受けて,Yに対し,その調査と報告を依頼した。 その結果,件システムには,SQLインジェクション対策が不十分という脆弱性が判明したことから,XはYに対し,その脆弱性はYの被用者の故意過失によって生じたものであるから,使用者であるYには使用者責任があると主張して,民法715条1項所定の損害賠償請求権に基づき,緊急対策費用47万5200円,詳細な調査,抜的な修正費用640万円,サーバー移転費用35万6400円,セキュリティ対策のための件システ

    SQLインジェクション対策不備の責任 東京地判平30.10.26(平29ワ40110) - IT・システム判例メモ
  • ソースコードと営業秘密の不正使用 東京地判平30.11.29(平27ワ16423) - IT・システム判例メモ

    元従業員が競合ソフトウェアの開発に関わったという事例におけるソースコードの「使用」が争点となった事例。 事案の概要 基的な事実関係は,東京地判平27.6.25及びその控訴審・知財高判平28.3.23と同様だと思われる。いずれもXの元従業員A,Bらが所属するYが開発・販売する字幕制作用ソフトウェアの権利関係について争いになった事件だが,前訴は,プログラム及びデータベースの著作権侵害を理由に権利行使したのに対し(前訴にかかる請求はいずれも棄却。),訴は,ソースコード等が営業秘密であるとして,不正競争防止法に基づく請求を行った事案である。 ここで取り上げる争点 (1)Yが件ソースコードを使用したか (2)上記の行為が不正競争行為に該当するか 裁判所の判断 件の特徴として,XとYそれぞれのソースコードの類似点を分析するために鑑定が行われたことが挙げられる。その結果等は判決文に詳細に表れてい

    ソースコードと営業秘密の不正使用 東京地判平30.11.29(平27ワ16423) - IT・システム判例メモ
  • ゲームシナリオ作成契約と請負/準委任 東京地判平30.10.26(平30ワ3180) - IT・システム判例メモ

    ゲームの企画及びシナリオの作成に関する委託契約の性質が問題となった事例。 事案の概要 Xは,Yから,スマホ用の乙女ゲームの企画及びシナリオの立案を依頼された。報酬が100万円であることが合意されていたが,Xがシナリオを提出した後もYが代金を支払わないため,提訴した。 ここで取り上げる争点 XY間の契約の法的性質。 Yは,XY間の契約は請負契約であって,審査・改訂の機会が与えられなかったから支払えないと主張していた。 裁判所の判断 裁判所は,準委任契約であるとした。 前記認定事実の経過に照らせば,XとYとの間では,プロジェクトの内容,方向性について上記の程度には合意されているものの,それ以上具体的な合意がされてはいないこと,Xにおいて,プロジェクトにおけるシナリオ作成についての具体的な内容に関する提案やYの意向の確認等はされており,Yからは抽象的な方向性等を示すことや要望を述べること

    ゲームシナリオ作成契約と請負/準委任 東京地判平30.10.26(平30ワ3180) - IT・システム判例メモ
    nakex1
    nakex1 2018/12/25
    役務提供の結果に受注者が満足していない場合の支払拒絶で契約の性質が問題になった例
  • ソフトウェアを自ら使用するために必要な範囲での利用(著作権条項の解釈) 東京地判平30.6.21(平29ワ32433) - IT・システム判例メモ

    開発委託契約における著作権の帰属・許諾に関する規定の解釈が問題となった事例。 事案の概要 ベンダXが,Yに対して,システム開発委託契約に基づいてXが著作権を有するプログラムの使用を許諾していたところ,Yらが違法に同プログラムを複製又は翻案し,システム開発委託契約が終了した後も使用,複製,翻案を継続しているとして,Yらに対し,著作権侵害による損害賠償(1620万円)等の請求をした事案である。 Xは,平成20年から平成21年にかけて,件新冷蔵庫等システム及び件共通環境設定プログラム(件新冷蔵庫等システムを使用する際に必要となる共通的な機能をまとめたもの。)を納入し,Yは,上記各プログラムを検収した上で,開発委託費を支払った。その後,XY間では保守契約が締結されたものの,平成25年11月に当該保守契約が解除され,平成26年9月には,Xが基契約を更新しない旨の通知をし,基契約も終了した。

    ソフトウェアを自ら使用するために必要な範囲での利用(著作権条項の解釈) 東京地判平30.6.21(平29ワ32433) - IT・システム判例メモ
  • 写真素材のイラスト化 東京地判平30.3.29(平29ワ672) - IT・システム判例メモ

    同人誌イラストの一部に写真素材が流用されたとして著作権侵害の有無が争われた事例。 事案の概要 Xが,Yにおいて販売する同人誌に,Xが販売する写真素材をイラスト化して掲載して販売する行為が著作権侵害にあたるとして損害賠償を求めた事案。 問題となった写真素材。 問題となったイラスト(下方のの背表紙部分の飲み物を飲む男性) ここで取り上げる争点 著作物性と著作権侵害の有無 裁判所の判断 確かに写真素材なので,類似の写真が多く存在するとはいえ,裁判所は以下のように述べて著作物性を認めた。 (1) 写真は,被写体の選択・組合せ・配置,構図・カメラアングルの設定,シャッターチャンスの捕捉,被写体と光線との関係(順光,逆光,斜光等),陰影の付け方,色彩の配合,部分の強調・省略,背景等の諸要素を総合してなる一つの表現であり,そこに撮影者等の個性が何らかの形で表れていれば創作性が認められ,著作物に当たる

    写真素材のイラスト化 東京地判平30.3.29(平29ワ672) - IT・システム判例メモ
  • HTMLの著作権侵害 知財高判平29.3.14(平28ネ10102) - IT・システム判例メモ

    HTMLの著作物権侵害が問題となった事例。 事案の概要 YはXに対し,Yの運営する通販サイトの開発を委託し,Xが通販サイトを構成するプログラムの仕様を許諾していたところ,当該使用許諾契約が終了した後もYは通販サイトを機能させるためのプログラム(件プログラム)を違法に複製し,著作権を侵害したとして,不法行為に基づいて損害賠償を請求した事案。 原審(東京地判平28.9.29(平27ワ5619))は,件プログラムに含まれるHTMLHTML)について,Xの従業員が創作的表現を作成したと認めるに足りないとしてXの請求を棄却した。 ここで取り上げる争点 件プログラムの著作物性 ※なお,Xは,通販サイトを構成するプログラム全体を件プログラムと主張していたが,実際にプログラムを対比して侵害を主張していたのは「新規会員登録」,「登録申請時確認テスト」といった画面のHTMLHTML)部分に

    HTMLの著作権侵害 知財高判平29.3.14(平28ネ10102) - IT・システム判例メモ
  • リツイート行為と著作権侵害/ログイン時の発信者情報開示 東京地判平28.9.15(平27ワ17928) - IT・システム判例メモ

    (1)リツイート行為が著作権侵害に該当するか,(2)著作権侵害行為時ではなく当該アカウントの最新のログイン時の発信者情報の開示を求められるかどうかが争われた事例。 事案の概要 職業写真家であるXは,Xの著作物である写真(件写真)を,アカウントAがツイッターアカウントのプロフィール画像に設定したこと,アカウントBが件写真を含むツイートをしたこと,アカウントCらが当該ツイートをリツイートしたことについて,著作権(複製権,公衆送信権)及び著作者人格権侵害に当たるとして,米ツイッター社に対し,発信者情報の開示を求めた。 なお,Xは,開示を求めた発信者情報として,主位的には,アカウントAらが当該アカウントにてログインした際のIPアドレス等については,判決確定時点でもっとも新しいものを,予備的には,当該ツイート等がなされた際の情報を求めていた。 このような請求を立てた背景としては,(時間の経過と

    リツイート行為と著作権侵害/ログイン時の発信者情報開示 東京地判平28.9.15(平27ワ17928) - IT・システム判例メモ
  • プログラム及びデータベース著作権侵害―否定 知財高判平28.3.23(平27ネ10102) - IT・システム判例メモ

    字幕制作用ソフトウェアの著作権侵害に関する東京地判平27.6.25の控訴審。原審で請求を棄却されたXは,控訴審になって,MS Accessのデータベースに関する請求を追加してきた。 事案の概要 原審記載のとおりであり,高いシェアを有する字幕制作用ソフトウェアの著作権者Xが,元従業員が開発に関わったYのソフトウェア(Yソフトウェア)がプログラムの複製又は翻案したものであるとして,差止等を求めた。 原審では,ソースコードの対比が行われず,機能の類似性や,複製したことを推認させる間接事実の主張立証にとどまり,YプログラムがXプログラムを複製又は翻案したものとはいえないとされた。 Xは,Yプログラムに含まれるPlugDtm.dllというファイルが,Xプログラムに含まれるTemplate.mdb(MS Accessのファイル)の複製であるという請求を追加した。 ここで取り上げる争点 (1)(控訴審で

    プログラム及びデータベース著作権侵害―否定 知財高判平28.3.23(平27ネ10102) - IT・システム判例メモ
  • 開発途中で退職したエンジニアの責任 東京地判平27.3.26(平26ワ12971) - IT・システム判例メモ

    ソーシャルゲームの開発中に退職した従業員らが,会社から開発頓挫の責任を追及された事例。 事案の概要 Xは,ソーシャルゲームゲーム)の開発を目的として設立された会社である。Yらは,Xの設立前から,Xのグループ会社の依頼を受け,ゲームの開発に関わり,Xが設立された後には,Xの従業員となって,ゲームの開発に従事した。 ゲームのリリースは,当初定められていた時期には間に合わず,延期された。 その後,Yらが,いずれもゲームのリリース前に退職したところ,Xは,Yらが開発設計仕様書も作成せず,突然の退職によってゲームの開発が頓挫して損害を被ったとして,主位的に不法行為に基づく損害賠償として,予備的に労働契約上の債務不履行に基づく損害賠償として,5400万円の賠償を求めた。 ここで取り上げる争点 Yらは,信義則上,あるいは労働契約上の義務として,開発設計仕様書を作成する義務があっ

    開発途中で退職したエンジニアの責任 東京地判平27.3.26(平26ワ12971) - IT・システム判例メモ
  • 要件が確定しなかったことにつきベンダに責任がないとされた事例 東京地判平22.7.22(平20ワ16510号) - IT・システム判例メモ

    ユーザがベンダに対し,ベンダが一方的に開発契約を解除したとして,損害賠償を求めたが棄却された事例。 事案の概要 ユーザXは,ベンダYに対し,平成14年9月18日に,Xの人材派遣業務に必要なシステムとして2つのシステムの開発を委託した(契約金額の合計は840万円)。 その後,Yは,9月25日にはソフトウェアの概要仕様を記載したシステム設計書を交付したが,Xは内容不十分であるとして記名押印を拒絶したためシステム設計書は確定しなかった。さらに,下請業者が交替するなどして,翌平成15年9月になってプロトタイプを作成するとともに再度ドキュメントを提出したが,Xは,やはり記名捺印を拒絶し,確定しなかった。その後もYからはドキュメントが提出されているが,Xはやはり拒絶した。Yは,Xに対し「弊社は契約書の範囲内で最後まで誠意をもって開発を行います。」などと記載した書面を交付した。結局,平成16年9月になっ

    要件が確定しなかったことにつきベンダに責任がないとされた事例 東京地判平22.7.22(平20ワ16510号) - IT・システム判例メモ
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