<海洋化学と放射能の影響の研究に多大な業績を残した猿橋の足跡> 3月22日、グーグルの検索ページのロゴに日本人科学者、猿橋勝子(1920~2007)の似顔絵が現れた。この日は彼女の生誕98周年。同時に「世界水の日」でもあり、似顔絵の背景には彼女の研究した海洋水が描かれた。 猿橋は小学生のときに校舎の窓ガラスを流れ落ちる雨粒を見て、なぜ雨は降るのだろうという疑問を抱いた。彼女はその答えを求めて、探求の旅に出る。専門分野は海洋化学。海水の炭酸濃度に関する先端的な研究を行い、1957年に東京大学で女性初の理学博士号を取得した。 海水中の炭素は、いま地球温暖化で問題となっている地球上の炭素サイクルの重要な部分を占めている。猿橋は55年の論文で、水温、酸性度、塩素量の違いによる炭酸物質量の変化を計算表として示した。これは後に「サルハシの表」と呼ばれ、コンピューターが普及するまで30年間にわたり海洋学