Le vent se leve. Il faut tenter de vivre. しぶとい暑気もいつしか盛りを過ぎて、今年の夏もようやく終わろうとしている。 この夏、政府の高位・高官を歴任した宮澤喜一氏が高齢で亡くなった。氏の歴史的評価などは、あまたの識者が論じるであろうが、ここではごく個人的思い出を述べておきたい。 氏と面識を得たのは、中学一年の時だったと思う。二年の時だったかもしれない。あれから何度も、軽井沢のお宅でお目にかかった。 我々が騒いで椅子の脚を折ってしまったことがあった。その時、ただ家具屋に行って修理を言いつけただけで、我々には何のお咎めもなかったのには驚いた。私の家では、こうもり傘の骨を折ってきただけでも、ひどく叱られたものである。 その頃、氏はフランス語のブラシュアップをしていたようだ。私の耳には、リンガフォンのfrere Jacquesの歌が残っている。時の首相が癌