写真家のクリス・ジョーダン(Chris Jordan)は、もともとゴミ山を撮影していた。彼は、故郷シアトルの港で、浜辺に打ち上げられた大量のプラスチックの漂流物を撮っていた。撮影後、スタジオに写真を飾った彼は、ある写真家の友人といっしょに、奇妙にも美しい造形に魅入っていた。有名な人道主義者で活動家でもあるその友人は、彼にこう告げた。「どの被写体もすばらしいけれど、私には、死にゆく米国の姿を思わせる」。その瞬間、ジョーダンは閃いた。 次にジョーダンが被写体に選んだのは、太平洋の真ん中にあるとされる、巨大なゴミ島だった。しかし、2009年、ゴミ島探索に乗り出した彼は、ゴミ島が実は〈島〉ではない、と知り衝撃を受ける。代わりに彼が遭遇したのは、より悲しい現実だった。 北太平洋に位置するミッドウェー諸島は、地球上のあらゆる陸地からもっとも遠い場所だ。複数の小島からなるこの諸島はゴミの濾し器になってお