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ブックマーク / blog.livedoor.jp/route408 (9)

  • オリンピック分子集合体登場! : 有機化学美術館・分館

    7月26 オリンピック分子集合体登場! 新型コロナウイルスの流行は、なかなか出口が見えてきません。来ならば東京オリンピック開幕で盛り上がっていた時期のはずですが、こればかりはやむを得ません。 さてオリンピックのシンボルマークといえば、5色の環が絡み合った形であるのはみなさんご存知でしょう。このようにリングがつながりあった形の分子も知られており、「カテナン」と名付けられています。ラテン語で「鎖」を意味する「catena」から来ている言葉です。 実際の鎖を作るのもなかなか手のかかることですが、分子で鎖を作るのははるかに難事です。何しろ、実際に手で環をつなげるわけにいきませんので、当初はリングが2つ連結したものさえ合成は大変でした。 五輪マークのように5つの環がつながった分子が創り出されたのは1994年のことで、「オリンピアダン」と命名されています。分子同士の引き合う力を巧妙にコントロールした

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  • 「C2」が合成された話 : 有機化学美術館・分館

    5月13 「C2」が合成された話 カテゴリ:有機化学構造 有機化学は、いうまでもなく炭素原子を中心とした化学の分野です。炭素は極めて奥深い可能性を持ちますが、やはり一つの元素を世界の化学者がよってたかって200年も研究しているわけですから、炭素だけから成る全く新しい化学種が出てくることは、今やそうそうありません。1985年に登場したフラーレンはその数少ない例の一つであり、だからこそ科学者は驚きと興奮を持ってこれを迎えたわけです。 しかし最近になり、「C2」という化学種がフラスコ内で作れることが報告されました(論文。オープンアクセスです)。東京大学の宮和範准教授、内山真伸教授らの研究グループによる成果です。今回はこの何がすごいのか、ちょっと書いてみます。 水素や窒素、酸素といった元素は、それぞれH2、N2、O2といった二原子分子を作り、これらはいずれも安定に存在します。しかし炭素の二原子分

    「C2」が合成された話 : 有機化学美術館・分館
  • 新たなサルフラワー : 有機化学美術館・分館

    3月13 新たなサルフラワー 筆者は根がマニアであるので、たとえば2種類の元素だけでどういう化合物が作られているか調べたりするのが好きです。で、以前に東京化成さんのサイトの「化学よもやま話」にて、このへんを書いたことがあります。硫黄と炭素から成る化合物は結構な数があり、とりあえず思いつく一硫化炭素、二硫化炭素、亜硫化炭素(S=C=C=C=S)の他、いくつかの環状化合物が作られています。 環状の硫化炭素類の例 そして2006年には、「サルフラワー」と名づけられた新顔の硫化炭素(C16S8)が登場しました(論文)。チオフェンが8つ環を作ったような構造で、名称は「sulfur」(硫黄)+「flower」(花)から来ています。 サルフラワー 合成はどうやっているかというと、環状のチオフェン4量体に塩基を作用させ、生じたアニオンに硫黄を付加させます。これを真空下熱分解させてサルフラワーとしています。

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  • 安息香酸のこと : 有機化学美術館・分館

    5月25 安息香酸のこと 某ミュージシャンの覚醒剤使用騒動に伴い、「アンナカ」という言葉がマスコミに流れるようになりました。アンナカは「安息香酸ナトリウムカフェイン」の略称ですが、単独の化合物名ではありません。興奮剤であるカフェインに、溶解性を上げるための安息香酸ナトリウムを混ぜたもので、これ自体は別に違法なものではありません。処方箋さえあれば販売可能ですが、最近ではあまり使われない医薬品のようです。ただし昭和の時代には、覚醒剤の混ぜ物あるいは代用品として出回ったことがあるとのことです(参考:弁護士小森榮の薬物問題ノート) カフェイン このニュースを見た人から「安息香酸って不思議な名前だけど、なんだろう」という声があったので、ちょっとその話を書いてみます。化学者にとってはおなじみの名前ですが、由来を知っている人は少ないのではないでしょうか。 安息香酸の構造は下図に示す通り、ベンゼン環にカル

    安息香酸のこと : 有機化学美術館・分館
    karotousen58
    karotousen58 2014/05/26
    高校化学の教科書で見た名前だ。大袈裟な名前だと当時思ったのだが、そういう由来があったのか。
  • STAP細胞の「不正」とは何だったのか : 有機化学美術館・分館

    4月11 STAP細胞の「不正」とは何だったのか STAP細胞の騒動が世間を揺るがせています。特に4月9日、小保方晴子氏が久方ぶりに姿を表し、記者会見を行ったことで、騒ぎは最高潮に達した感があります。 ブログではこの件に関し、今まで何も触れてきませんでした。専門外でもありますし、あまりよい話題でもないですし、筆者は他人の不正をあれこれ論評できるような偉い人間でもありません。 ただ、9日の会見を見て、「小保方氏の発言に納得した」「彼女の言うことを信じた」という人が多数派であったのには驚きました。ネットでのアンケートでもそうですし(※)、テレビ番組での調べでも、6〜7割の人が小保方氏を支持するとの結果が出ていました。これはずいぶんとずれが生じているかなと感じたので、思い切ってこの件について書いてみます。 (※)4月12日現在では投票結果が逆転し、「納得できなかった」が多数派となっているようで

    STAP細胞の「不正」とは何だったのか : 有機化学美術館・分館
  • 化学家紋 : 有機化学美術館・分館

    2月10 化学家紋 カテゴリ:雑記 さて先日、ツイッターで「現代家紋」というのが流行っていました。まあこんな感じ↓で、どこかで見かけたようなマークや記号を、家紋風にアレンジして遊ぼうというものです。秀逸な作品も多く、まとめもできています。 西村備山@lipoyang頭合セ三ツWiFi #現代家紋 http://t.co/BFHfaat93n2014/02/06 21:31:48 ということで、化学版の家紋というのもあると面白いかなということで、いくつか考えてみました(筆者は決してヒマを持て余しているわけではありません)。 ・亀甲 有機化学の基はやはりこれ。日の伝統文様とも違和感なくなじみます。 ・丸にフラーレン みんな大好きフラーレン。五員環を黒く塗ったほうが、紋様としては引き立つかもしれません。 ・丸に三つ水分子 水素結合している方がよいという声がありましたが、筆者の腕ではまとまりが

    化学家紋 : 有機化学美術館・分館
  • 紛らわしい化学用語 : 有機化学美術館・分館

    12月21 紛らわしい化学用語 さて先日、紛らわしい名前の化学用語について、「化学用語の偽装表記(?)]という記事を書きました。まあもちろん、偽装しようとわざとやったわけではありませんが、ミステイクあるいは歴史的経緯などで、実態を表さない名前になってしまったものは他にもいくつかあります。 ・ストロベリーアルデヒド 前回のコメント欄でご教示いただきました。この化合物、名前に反していちごに含まれておらず、アルデヒドでもありません。合成香料の一種で、いちごの香りをつけるために化粧品や石鹸など日用品に用いられるそうです。何でアルデヒドかって?何でなんでしょうね。 ・ヒノキチオール 1943年、当時台湾の台北大学にいた野副鉄男・東北大名誉教授が、タイワンヒノキの木から発見した化合物です。当時にあってこの構造は珍しく、大いに構造決定は難航しました。戦後、この発見は7員環の芳香族・トロポノイドの化学へと

    紛らわしい化学用語 : 有機化学美術館・分館
  • 化学用語の偽装表記(?) : 有機化学美術館・分館

    11月21 化学用語の偽装表記(?) いろいろ忙しく、だいぶ更新に間が空いてしまいました。その間、世間はホテルのメニューなどの偽装表記問題に揺れていたようです。もちろん腹立たしくはありますし、アレルゲン含有品を隠していたなどの悪質なケースもあったのは、確かに大きな問題ではあります。しかし、エビの種類がどうこうで騒ぐくらいなら、極めて疑わしい効能を謳って商売している健康品やら何とかネックレスやらが、平然とフリーパスで売られている方はいいんかいなという気もします。 こうした品の話から広がって、ツイッターでは鉄道方面にも偽装表記(?)があるんじゃないか、と話題になっていました。 〔首都圏の主な駅名偽装問題〕 学芸大学(東急) 都立大学(東急) 御嶽山(東急) 大泉学園(西武) 都立家政(西武) 一橋学園(西武) 向ヶ丘遊園(小田急) 読売ランド前(小田急) 武蔵小杉(JR横須賀線) 品川(

    化学用語の偽装表記(?) : 有機化学美術館・分館
  • 沖縄生まれの化合物 : 有機化学美術館・分館

    9月8 沖縄生まれの化合物 前回お知らせしました交流会、現在参加申し込みが19名となっております。残りは11席分ですので、来てみたいという方はお早めに。Chem-Station副代表、「アリエナイ理科」シリーズのれらく所長など、多彩なメンバーが参加いただけることになっております。詳細はこちらから。 さて先日、取材と旅行を兼ねて沖縄へ行ってまいりました。筆者は初めての訪問でしたが、晴天に恵まれて非常によい旅となりました。暑いには暑いですが、東京のようなじっとりとした暑苦しさはなく、快適な気候でした。石垣島の日差しはちょっと別物でしたけどね……。 さてその沖縄というところ、仲間由紀恵・新垣結衣・比嘉愛未などなど美女の産地で有名でありますが、実は天然物化学者にとっても「聖地」というべき場所です。サンゴ礁は非常に多彩な生物のすみかとなりますが、特に沖縄は海流の関係などで多くの生物種が生息しているの

    沖縄生まれの化合物 : 有機化学美術館・分館
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