目次 要旨 方法 結果 考察 文献 英文要旨 要旨: 日本語の助詞「ね」は、会話文の文末に付加されて、聞き手との話題の相互共通性を表わすのに使われる。この助詞は、健常児では通常18ヵ月から24ヵ月にかけて発現する。自閉症児は情報を聞き手と共有することに障害を有しているために、「ね」を使わないか、使ったとしてもまれにしか使わないであろうという仮説をたてた。形態素単位平均発話長がおよそ2.05、つまり文法発達段階がBrown(1973)の段階II初期にマッチングされた6歳の自閉症男児と5歳精神遅滞男児の1時間の発話標本を比較した。予想したとおり、自閉症事例は「ね」を産出せず、精神遅滞事例は「ね」を頻繁に産出していた。また、自閉症事例は精神遅滞事例にくらべ終助詞の多様性が少なかった。他のタイプの助詞に関しては、事例間に目立った差異がなかった。得られた結果を、自閉症における「心の理論」の障害という