傷や肌あれなど、皮膚のトラブルで困った時はとりあえずこの薬に頼っていた―という方も多いのではないだろうか。家庭常備薬「メンターム」。この国民の定番薬ともいえるロングセラー商品を供給してきたのは、実は滋賀県の会社。地方で事業を起こし、アメリカから商品や技術を仕入れ、日本中に発信していったその歩みはまさに、グローカル企業のパイオニアといえるだろう。地方を拠点に発展を続ける「近江兄弟社」の素顔に迫った。 青い目の「近江商人」、創業者ヴォーリズ 琵琶湖の東岸に位置する近江八幡市は、豊臣秀次が築いた城下町だ。交通の要衝である地の利を生かし、近世は「近江商人」が活躍する商業都市として栄えてきた。今も旧市街地には碁盤の目のような整然とした街並みや歴史的な建物が保存され、歴史の薫りを豊かに伝えている。 そんな近江八幡の駅に、1905年(明治38年)、1人のアメリカ人青年が降り立った。彼の名は、ウィリアム・