防衛装備庁のロゴマークが「物議」をもたらす程度の日本のごく一部の関心をみるにつけ、本当に日本の安全保障政策の理解が重要だな、と安全法制問題との関連も含めて日々確信している。その中で出版された桜林美佐さんの『自衛隊の経済学』はまさに求められていた一書といえる。 冒頭では上念司さんとの対談が収録されていて、日本のおかれた安全保障の状況が、日米同盟の経済的・安全保障的意義、自衛隊の人件費抑制の目もあてられない状況(引っ越し費用さえも自弁など)、日本の防衛に関する基礎研究の脆弱性、ラセット&オニールの「カントの三角形」(国際的な組織、民主主義、経済的相互依存関係)などの視点から議論されていて本書のいい導入になっている。 第一章は日本の防衛に関する実態をデータをもとに解説していて、非核三原則という縛りを米国の核の傘で補っている実状、もし単独で自国防衛するときの膨大な経費見積もり可能性、武器輸出三原則