「与えられた問題を解く」のが、あなたの人生か? 前置きがずいぶん長くなってしまいましたが、ここから本論。本書からは、研究を進める上で、大事な姿勢と方法を学ぶことができました。そのことを3点、述べておきます。 その第1は、本書は、「自分が変わり相手が変わる」という自身と対象とのダイナミックな関係を記述しようとする試みだという点です。著者の菅原氏は、先輩研究者の田中二郎氏に導かれてこの種の研究に取り組み始めます。その最初のところから、話が始まります。著者が大学院生であった時に田中氏に引率されて当地へ行くのですが、当の田中氏が突然同行できない事情になります。そうした事情を序章で述べるのですが、そこから「本書は、対象と距離を置いて客観的な観察をベースとしたモノグラムではない」ということがわかってきます。 もちろん、客観的な分析が軽視されているわけではありません(以下に述べるように、現実に、彼は、定