(Vol. 31 p. 108-109: 2010年4月号) 近年、淋菌の薬剤耐性化が高度化しており治療剤選択の幅が制限されてきている。世界に先駆け、日本において1990年代末に経口第3世代セファロスポリン剤(セフェキシム)耐性淋菌が出現し、2000年以降、国内各地でその分離頻度が高まった。その結果、セフェキシムをはじめとする経口セファロスポリン剤は淋菌感染症治療に用いることが推奨されない状況となった。淋菌感染症治療に頻用されたフルオロキノロン剤に関しては、既に分離株の80%以上が耐性であり、治療効果は期待できない。日本性感染症学会の治療ガイドラインでは、第3世代セファロスポリン注射剤であるセフトリアキソンあるいはセフォジジム、ならびにスペクチノマイシンの単回投与が推奨されている 1)。 セフトリアキソンは世界的にも淋菌感染症治療の第一選択剤であり、治療効果が期待できるその他の薬剤はスペク