動物や人類の進化について書かれた本は多いが、本書『禁断の進化史』(NHK出版)が、「禁断の」と銘打っているのは、それなりの理由がある。たとえば、生き残った人類はネアンデルタール人であったかもしれない地球の歴史、あるいは私たちが生物学的な実体であるよりも、コンピュータ・シミュレーションの一部である可能性が高いことに触れているからだ。ヒトが世界の頂点に立つ存在であると信じている人には耐えがたいイメージかもしれない。さまざまな学説を紹介しながら、人類の進化の歴史に迫った好著である。 著者の更科功さんは武蔵野美術大学教授、東京大学非常勤講師。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。博士(理学)。『化石の分子生物学――生命進化の謎を解く』で講談社科学出版賞を受賞。著書に『絶滅の人類史』『残酷な進化論』などがある。 知能の高さと生物の繫栄は直結しているのか? なぜ知能だけでなく、意識が進化したのか?