松浦理英子(まつうら・りえこ) 1958年、愛媛県松山市生まれ。青山学院大学文学部卒業。78年、「葬儀の日」で第47回文學界新人賞を受賞し、デビュー。94年『親指Pの修行時代』で女流文学賞、2008年『犬身』で読売文学賞を受賞。他の著作に『セバスチャン』『ナチュラル・ウーマン』『裏ヴァージョン』などがある。 少女たちが作っていた王国に権力が介入し、<家族>は崩壊した ――毎回、一作と一作の間にかなり時間が空きますが、その間、少しずつ書き進めていくんですか。それとも書いてはしばらく置いておく感じなんですか。 松浦 説明が難しいんですけど、書いたり書かなかったりですね。毎日書けるタイプではないんです。芸術家の古典的なイメージのように、頭をかきむしって煩悶するということはありませんけど。書いている途中で思ったほど面白くないと思えば筆が止まりますし、次の展開のためのアイディアが出なければ出るまで止